真髄を捉え直し、より豊潤に

ヒア・ウィー・ゴー・マジック『ビー・スモール』
2015年11月20日発売
ALBUM
SSWのルーク・テンプル率いるブルックリンのユニット。現在はデュオ中心の編成となり、今作は4枚目のアルバムになる。3年前の前作『ア・ディファレント・シップ』はナイジェル・ゴドリッチの起用も話題を集めたが、今作は一転してセルフ・プロデュースに。背景には、音楽性の拡張を遂げた前作の反動があるようで、その辺りの意図は今作のタイトルからも窺える。実際に今回は宅録に近い環境で制作が行われたそうだが、とはいえ、それは単なる原点回帰を意味しない。立体的なミックスにより洗練された音像を得た前作に対し、まろみを増した音色はローファイな手触りも湛え、厚みのある楽器のレイヤーは00年代のブルックリン勢にも比せられた初期の作品を彷彿させる。が、そうしたサイケデリックなサウンドスケープ以上に耳を引くのは、より前面に打ち出された洒脱なダンス・フィール。十八番の巧みなギター・ワークやリズム・アレンジに乗せたソウルやファンクのグルーヴこそ醍醐味だろう。複雑なシンコペーションで魅せるM7は白眉。いやはや“ビッグ”で“ファット”な転回を遂げたサウンドはぜひライヴで堪能してみたい。(天井潤之介)