「女王蜂VS獄門島一家」とは昭和のB級映画めいた怪しさを漂わせたタイトルだが、本誌読者なら女王蜂はご存知だろう。その女王蜂を率いるアヴちゃんが長女として参加する獄門島一家は、お父様は中村達也、お兄様が長岡亮介、次男の西園寺にKenKenという謎の家族。この3月、リアルに対決した2バンドによる初のスプリットシングルだ。これはアヴちゃんが好きな格闘ゲームをイメージしたもので、人気ゲームのイラストを多く手がける西村キヌ描き下ろしのジャケットも秀逸。女王蜂の“金星”は、バンドサウンドを生かしたグルーヴィな演奏と、パンチの効いた歌が素敵なラブソングだ。もう1曲“く・ち・づ・け”は獄門島一家と共作のダンサブルな曲で、両者のファンを悩殺すること間違いなし。獄門島一家の“死亡遊戯”はアヴちゃんのトランペットで幕を開ける天衣無縫ディスコ。言語道断の強力リズム隊にワウを効かせたギターで鳥肌を誘う。“シーサイドスーサイド”は浮遊感漂うヴォーカルと最強ビートが絡まって、あの世へと飛ばしてくれる。4曲と思えない濃厚さは、このメンツならでは。（今井智子）