聴く前にはどんなアルバムになるのかいま一つイメージがまとまらなかったスーパーバンド。テキサスのヴェテラン・インディ、ミッドレイクのエリック・プリードが中心になってフランツ・フェルディナンドのアレックスやトラヴィスのフラン・ヒーリィ、バンド・オブ・ホーセズのベン・ブライドウェルらが集まったもので、先行試聴で発表された”リアル・ラヴ”（良い曲）は歌い回されているもののそれ以外は各自がソロを取っていて個性は違うが共通するテイストが強く感じられ、なるほどこれならば一緒にやってみたいと思ったのも納得がいく。

基本にあるのはストレートな歌心で、メリハリの利いた美しいメロディに屈折することのないサウンドとアレンジが開放感を生み出していく。伝統的なブリティッシュ・ポップからアメリカーナ／ルーツ・ロック的なニュアンスを混ぜ合わせたりするが、どれもヘルシーで、企画ものや突発的なコラボレイションという感じはしないし、ラストの”ファイティング・ザ・ワールド”の美しさなど尋常じゃない。このメンツで恒常的な活動を、と願うのは無理だがライブはぜひ観てみたい。 （大鷹俊一）