飛び込んでいいよ

MASS OF THE FERMENTING DREGS『ワールドイズユアーズ』
2009年01月21日発売
ALBUM
約1年ぶりのリリースになる2ndアルバム。今年は、くるりのオープニングアクトを務めたり、各地のフェスに出演したりと、確実にその名と音を広めてきた彼女たち。しかし、その個性が余りに純粋な故、コアな存在に向かってしまったら勿体ないなと思っていたのだが、今作を聴いて、その不安は払拭された。中尾憲太郎が共同プロデュースを務めているところも大きいと思うのだが、彼女たちのポップセンスが見事に引き出されているのだ。楽曲のバリエーションも広がり、1枚を通して起伏のある展開になっている。それでいて、轟音の中を一筋の光のようにメロディが貫く、神聖とさえ思えるような音像や、頭ぶんぶん振りながら裸足で熱演するライブに象徴されるような、ダイナミックなサウンドは健在。まさに『ワールドイズユアーズ』という、力強く雄大なタイトルが似合う仕上がりになっているのである。前作から、彼女たちの楽曲には母性を感じてきたが、今作でその魅力は決定的なものになったと思う。この世界はあなたのもの。怖がらずに飛び込めばいい。そう促すような、優しい引力を感じる。(高橋美穂)