これがGO!GO!7188だ、といえる快作である。珠玉のバラード“ふたしかたしか”、彼女たちらしい和風メロディが冴える“ちんとんしゃん”。そして、“地球最後の日”という大げさな状況を歌った曲がある一方、“on the まゆ毛〜切りすぎて〜”（まゆ毛の上、つまり前髪を切りすぎたってこと）というとてつもなく小さな事情を扱った歌もある。で、後者の曲はちっぽけな題材なのにもかかわらず、恐ろしくへヴィでメタリックにアレンジされており、タイトル曲“アンテナ”のアップテンポにはとてつもない疾走感がある。つまり、歌う題材にしても演奏にしても変幻自在。ユーモアと切なさを呑みこんで、彼女たちの持てる力を存分に発揮した出来になっているのだ。３人で歌う最終曲“雨の日だけの恋”を聴くと、全員が今一緒に音楽できることを思う存分楽しんでいることが伝わってくる。曲のイメージを受信する力も演奏して発信する力も高まった状態で出したアルバムが『アンテナ』。しかし、これから始まるのは「ヘンテナツアー09」（笑）。この脱力するギャグ・センスもGO!GO!7188なんだよなぁ。（遠藤利明）