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結成10周年記念の、初のベストアルバム。「この曲はあのパターンのサウンドの組み立て方か」とか、「この曲の歌詞の書き方はこのフォーマットか」みたいなことと、これほどまで無縁なバンド、他にいないことが、全18曲を聴き通すとよくわかる。他のバンドや日本のロックバンドの歴史においてそうであるだけではなく、め組自身の中でもそうだ。自己模倣も他者模倣もない。どこの何にも似ていない。でも、だからと言って難解だったり聴き手を突き放したりしているのかというと逆で、意味や文脈以前に感覚でわかるし届く、どの曲も。成長してそうなったのではなく、最初にさよなら、また今度ねで知った時からそういうソングライターだった、菅原達也(Vo・G)は。どの曲もいいしどの歌詞もいいが、“マイ・パルプフィクション”の《あなたとなら駄目にしたい/あなたとなら無駄にしたい》が特に好き。新曲の“AIのうた”も素晴らしい。つくづく得難いことをやってきたし、今もやっているバンドなんだなあ、と思う。(兵庫慎司)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年7月号より)
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