『モダン・ギルト』を聴いてまず最初に思ったのは、ベックも歳をとったな、ということだった。それがあのアルバムの表層しか捉えていない感想だというのは後から気づいたのだけど、それだけどこか「枯れた」感が前面に出ていた。だがこのアルバムも『シー・チェンジ』に通じる内省型でありながら、ミニマリズムを極めたサウンド・プロダクションはサイケデリックなグルーヴを描き出し、ぞくぞくするような覚醒をリスナーに植え付けることで、これまで同様ベックというアーティストにおける新境地を開拓したことになる。前回の来日公演ではホームパーティみたいなインティメイトな賑やかさが印象的だったが、今回はもっとシンプルなものに回帰すると語っていたベック。不惑の40歳を手前にした彼が鳴らすライブ・ミュージックに今回も期待が抑えられない。
このスペシャル・エディションは昨年8月にリリースされたALにボーナストラックとPV集がついたもの。もちろんオリジナル盤は持っているのだが、ベック発案でズッカとコラボしたパッケージ(詳しくは『rockin’on 2009年4月号』のP169ミミヨリ参照)欲しさに、きっと買ってしまうんだろうな。(林敦子)