50周年名盤群のアニバーサリーお宝エディションが続くが、こちらはそれから10年後、クラッシュのサード・アルバム『ロンドン・コーリング』の40周年エディションが、さまざまな形態でリリースされる。《ロンドンは燃えている》と叫んで登場したグループが次の道を追究し79年12月に出した初の2枚組で、ポール・シムノンがベースを叩き折る瞬間をとらえたジャケットがあまりに有名だが、PiLやジョイ・ディヴィジョンを始め多くのアーティスト、グループがポスト・パンクの道を探り出していた時代に、クラッシュなりにひとつの方向性を示したアルバムであった。
もともとパブ・ロック・シーンでキャリアを積んでた連中だけに音楽的な表現力があり、パンクをベースに音楽性を積み上げていく姿勢は可能性に溢れ興奮したものだ。タイトル曲“ロンドン・コーリング”のカッコ良さが飛び抜けてはいるのだが、そこからの広がりは今聴いても楽しめ、60年代のスカ・ナンバーを思いっきりテンポアップした“ロンゲム・ボヨ”あたりは、解散後にジョー・ストラマーが追究した世界へとつながっていくようだったりもする。
またギターのミック・ジョーンズがイメージとはちょっと違う柔らかい声で歌う“アイム・ノット・ダウン”、“トレイン・イン・ベイン”や、シムノンがボーカルをとる名曲“ブリクストンの銃”などの収まり具合も、パンク的な見方ばかりが先に来ていた時代より、いまの方が楽しめるだろう。
紙ジャケ仕様の2枚組に加え、11月15日からロンドンで開かれる『ロンドン・コーリング展』の展示コンテンツなどが収録された120ページのスクラップブック付きの記念盤、日本プレスの透明ヴァイナル2枚組LP盤の3形態で出る。 (大鷹俊一)
詳細はSony Music Entertainmentの公式サイトよりご確認ください。
ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。