20年代の幕開けを飾る1枚

King Gnu『CEREMONY』
発売中
ALBUM
『Sympa』から約1年、その間には、複数のタイアップ曲、2本のツアーと多数のフェス/イベント出演、millennium paradeのローンチもあり……どう考えても多忙を極める期間の中で制作された今作。“白日”“飛行艇”“傘”というキラーシングルが収められ、冒頭と中盤とラストには『CEREMONY』というコンセプトに則ったインスト曲があり、凄まじい完成度と爆発力を誇っているのが、King Gnuの恐ろしいところだ。

エモーショナルなメロディと躍動するアンサンブル。情報過多で大衆が気分によって右往左往し、光と闇の濃淡が濃くなる一方の時代だからこそ、凄まじい集中力とスピード感で本質に向き合って生まれた、知性と野生の音楽。アートでありパンク。日々を憂い、悟りながら、煌めきを拾い上げるような常田大希(G・Vo)の生々しい歌詞も、今の空気が映し出されていて素晴らしい。海外のロックバンドもそうだが、本物しか残っていかない現在におけるロックバンドの闘い方として見事に正しいし、時代を切り拓くのはいつだってそういう批評的で革新的な音楽だ。(小松香里)