昨年10月に行われ、欅坂46としては最後の公演となった、2日間にわたる無観客配信ライブ『THE LAST LIVE』の映像作品化。それぞれ「DAY1」「DAY2」の2枚のディスクに分かれ（完全生産限定盤は3枚組で、ドキュメンタリー映像やブックレットなどの特典付）、今や伝説となっている最後のライブパフォーマンスを余すところなく見返すことができる。「DAY1」はデビュー曲の“サイレントマジョリティー”に始まり、「DAY2」のラストもまた“サイレントマジョリティー”で締めくくられる。両日でセットリストのかぶりはこの1曲のみ。2日目、欅坂46として最後に披露した“サイマジョ”は、デビュー当時を思い起こさせるステージセットも相まって、痛みも喜びもすべてが愛おしい「思い出」に変わる瞬間を観ているようだった。さらにライブはそこで終わるのではなく、櫻坂46の始まりへと続いていく。ひとつの季節を清々しく終わらせて、新たな未来へと旅立つ、静かな決意と力強さを感じさせる“Nobody’s fault”。その演出は、まるで「感傷に浸っている暇などない」と告げているようだった。（杉浦美恵）

『ROCKIN'ON JAPAN』5月号より