久しぶりの新曲である。今回のゲスト・ちゃんみなと中嶋イッキュウが順番に字余りのメロディを歌うAメロから、ユニゾンのBメロでホーンのサウンドが弾けるサビへ。なんでしょう、この一筋縄でいかない感じと高揚感と背徳感。ちゃんみなとイッキュウの声がこんなふうに交わることを想像していた人はひとりもいないだろうが、このカップリングを発見した川谷絵音の慧眼は言うまでもなく素晴らしい。声自体がメランコリアの塊みたいなちゃんみな（歌詞が強気であればあるほどそう思う）と、個人的になぜかわからないけど引っかかって取れない「魚の小骨系」ボーカルの筆頭であるイッキュウ。このふたりが合わさると、流麗でストイックな音のデザインの向こう側からじわじわと切なさが滲み出てくるようだ。こういう切なさの不意打ちみたいなのはこのバンドのお家芸だし、傷だらけの女心を書かせたら川谷は天下一品なわけだが、ちゃんみなという要素がそのすべてをブーストしている。終盤のラップ（ちゃんみな自身が書いている）にイッキュウがエモーショナルな叫びを重ねてくるところがいい。（小川智宏）

『ROCKIN'ON JAPAN』8月号より