まず、今作の収録曲、なんと全17曲!いくら『BOY』以来、約2年8ヶ月という月日を経てのオリジナルアルバムとはいえ、こんなにもボリュームたっぷりとは! しかも曲調が、レコード棚をひっくり返したみたいに、バラエティに富んでいる。しかも、どれもこれも、これまでの比ではないほど新鮮なのだ。デビュー10周年を迎え、過去を総決算した途端に、ジャンルにとらわれないミュージックラバーであり、高いスキルとしなやかなセンスを持つプレイヤーである彼らの本性が、ブワッと噴き出したのだろうか。ヒップホップも、ニューウェーブも、ブルースも、歌モノもあり。エレクトロな低い温度感も、生音の汗臭い湿度感も行き来する。なんだか、この一枚を聴いていれば、いろんな音楽を掘りたい欲求が満たされてしまうのではないか?と思えるほどの万能感だ。それって、逆に言えば、いろんな音楽の入り口にもなるのだけれど。リスナー目線に立てば、ストリーミング時代の気軽さが、バンド目線に立てば、そんな時代でも真摯に音楽に向き合う姿勢が見えてくる、実に彼ららしい、新時代の一歩だ。(高橋美穂)
こんなにも広く深く音楽好きとは!
OKAMOTO'S『KNO WHERE』
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