今回の新曲においても、タイトに構築された高速のダンスビートは健在、それどころか更にシャープに磨き込まれている。そして、相変わらず溢れ出る色気がすごい。また、2拍単位で細かく刻まれる鋭利なギターリフが快感中枢を刺激しまくる展開は圧巻で、今後のライブにおける新たな起爆剤となることは間違いない。一つひとつの歌詞は、フロウの妙や押韻の気持ちよさを優先して紡がれたものではあるが、その中の《Dance With 慈愛》というパンチラインに思わずハッとさせられてしまった。慈愛、なんて
夜ダンらしい言葉なのだろう。彼らのダンスロックは、リミッターがぶっ壊れたかのようなクレイジーな狂騒感を放ちながらも、同時に、フロアの誰ひとり置き去りにしないと言わんばかりの優しい包容力が満ち溢れている。今回も、メロディアスで懐の深い歌の力が美しく際立っていて、全方位に開かれたポップチューンとしての魅力が爆発している。夜ダンのダンスは、4人だけではなく、一人ひとりのリスナーと共に踊ることで初めて完成する。そうした彼らの確信、そして慈愛の念は、より深まるばかりだ。(松本侃士)
『ROCKIN'ON JAPAN』7月号より