ロックとポップのスリリングな共犯関係

UNISON SQUARE GARDEN『UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2021-2022『Patrick Vegee』at TOKYO GARDEN THEATER 2022.01.26』
発売中
Blu-ray&DVD
2020年秋に会心のロックアルバム『Patrick Vegee』をリリースしてから約1年後、ついに実現した念願のアルバムツアーの最終公演を収めた今回の映像作品が映し出すのは、自由に、そして大胆に、ロックの新しい可能性を追求する3人の勇姿だ。ダークで重厚なサウンドとともにゆっくりとカオスへ堕ちていく“摂食ビジランテ”や、爆走するビートにのせて果敢にエッジを攻め込んでいく“Phantom Joke”など、ハイライトを挙げていけばキリがない。一方で、バンド史上最高級にポップな輝きが爆発している“春が来てぼくら”や“オーケストラを観にいこう”では、壮大なサウンドとともにカラフルな景色を描き出していく。他にも、凛とした歌心が会場を爽やかなフィーリングで満たしていく楽曲が多数だ。矛盾するようではあるが、そうしたポップサイドが光れば光るほど、彼らのロックサイドの鋭さがさらに浮き彫りになる。ロックとポップが目まぐるしくバトンタッチを繰り返していく展開は非常にスリリングで、総じて、これぞまさにユニゾンだからこそ実現し得る究極のロックショーなのだと思う。(松本侃士)