演技がかった情念でも、取ってつけたメッセージでもない、「私」が「私」として生きることの現実と祈りが真っ直ぐに響いているアルバムである。「何を鳴らせばいい?」「何を聴けばいい?」「どうやって進めばいい?」――あらゆる問いが重くのしかかるこの時代にあって、カネヨリマサルは《とりあえずでいいよね/今日のわたしだけ生きてたい》(“ゲームオーバー”)と歌う。この「今」を生き抜く意思が逃避でも先延ばしでもないことは、その瑞々しい輝きを放つアンサンブルが証明している。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』3月号より)
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