昨年、立て続けのリリースと初の全国ツアーで、名実共にこれからのロック・シーンを担う重要バンドの地位を揺ぎ無いものにしたニコ。その余韻が続いていたからうっかりしていたが、気付けばこのシングルは今年初、８ヶ月ぶりのリリースとなる。《思い切り高く飛べ》、《誰かが描いてた一歩向こうへ》と堂々と歌い上げる、彼らが現状に満足していないことが伝わってくるようなサビが印象的だ。サウンドも、不敵なほどキャッチーな聴き心地の中に、これまで練り上げてきたグルーヴを惜しげもなく詰め込んだ、豪快なロック・チューンに仕上がっている。またカップリングの“トマト”もすばらしい出来。トマトという身近な存在を引き金に、一気に生死を描いていく、壮大なラブ・バラードなのだ。世の中の全ては繋がっているという真理を、わかりやすい形で深く感じさせる、ポップ・ソングの心臓みたいなところを突いた楽曲だと思う。さらには、昨年赤坂BLITZで行われたライブの模様も、生々しい音質で、５曲も収録されている。あらゆる角度から、今のニコのロックバンドとしての強度を映し出した一枚。（高橋美穂）