マルシィにとって、早くもターニングポイントになる一曲かもしれない。ポカリスエット協賛「全日本高等学校・全日本中学校チアリーディング選手権大会」 の応援CM曲として書き下ろされた新曲“大丈夫”。タイアップという外因によってとはいえ、「応援歌」という普遍的なテーマがもたらされたことは、今のマルシィにとって大きな意味があることだ。これまで主に「恋愛」というテーマを軸に同世代のリスナーと強固な精神的繋がりを築いてきたバンドが、「他人の人生に対して何を言えるか？」を問われたということだから。そして、その問いに対しての、マルシィの答えはこうだ――「《大丈夫》と言える」。彼ららしい、とてもしなやかで温かな答えだと思う。

“未来図”や“アリカ”に引き続き編曲に百田留衣を迎えたサウンドは、細部に様々なエッセンスを濃縮して構築されていると同時に、全体的には吹き抜ける風のように爽やかな質感を持っている。おそらくライブでの大合唱も期待して作られた曲だと思うが、コロナ禍にブレイクしたマルシィにとって、その景色もまた新たな1歩となるだろう。（天野史彬）

（『ROCKIN'ON JAPAN』2023年5月号より抜粋）

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