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橋本学のアカペラで始まり、橋本学のアカペラで終わる、2分20秒の新曲。もういてもたってもいられなくなる、聴いていると。今の世の中はこうだ、おかしいとしか思えない、落ちこぼれでもできるのは曲を作ってライブをやること、それによってこの「おかしいとしか思えなさ」の外に出てやる――そういう歌詞が、簡潔な言葉数でメロディに乗っている。2分20秒じゃ短い、もっと聴いていたい、と思ったりもするが、そんなわけにはいかないことに、何度も聴いていると気がつくのだった。2回のAメロも、3回のサビも、そのたびに演奏が違う。同じAメロの中でさえ1周目と2周目で表現が違うギター。手数足数がどんどん増えていくドラム。曲を支えるというよりひっぱるベース。サビで降ってくる全員コーラス――つまり、この曲を伝えるためにあらゆることをやったうえでの2分20秒なのだ。というのは、この曲に限ったことじゃないが、このバンドが行き詰まらないし飽きられない理由のひとつが、改めてわかった気がした。(兵庫慎司)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年9月号より抜粋)
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