位置について、用意。自由を捨てて解き放て

Dios『&疾走』
発売中
ALBUM
《自由を捨てろ》と強烈なアンチテーゼを唱えるリードトラック“自由”が鳴らすのは、リスナーの心を全力で駆動させるほどにみなぎった彼らの揺るぎないアイデンティティだ。たなかの千変万化なボーカリゼーションと掛け合うように流麗な音色を絶え間なく響かせるIchika Nitoのギター、それらを万全の土台で支えるササノマリイのトラック、目まぐるしく移り変わる構成――サウンドメイクにTAKU INOUEを迎えたことで3人の個性が爆発寸前のところで調和され、聴き終える頃にはアルバムを1作通して聴いたような没入感と陶酔感に浸っていることに驚く。そして表題曲となる“&疾走”では疾走するためには《ただしいフォーム》が必要であると呼びかけ、《魔法なんてない》《正しく踊れ》と叫ぶ。前作アルバム『CASTLE』での内省的で楽天的な逃避行の季節を超え、《崩れ落ちた城のまえで/痛いほど笑っていて》と歌う“王”で絞めくくられる本作で今、彼らは明確な意志を我々に届けようとしている。それは紛れもなく希望に満ちている。(橋本創)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)


『ROCKIN'ON JAPAN』10月号のご購入はこちら
他ラインナップはこちら
JAPAN最新号、発売中!マカロニえんぴつ/別冊ROCK IN JAPAN FES. 2023/Mrs. GREEN APPLE/宮本浩次/クリープハイプ/UVERworld/SUPER BEAVER/牧達弥(go!go!vanillas)×山中拓也(THE ORAL CIGARETTES)/ねぐせ。りょたち 2万字/ヤングスキニー/NEE/ano
8月30日(水)に発売する『ROCKIN’ON JAPAN』10月号の表紙とラインナップを公開しました。今月号の表紙巻頭は、マカロニえんぴつです。 ●マカロニえんぴつ らしく生きろ! 心のロックを解放したニューアルバム『大人の涙』のすべて 紆余曲折と実験の日々を語る「メンバーインタビ…