伝える力

マルシィ『エール』
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優しいきらめきを放つ鍵盤から始まり、吉田右京が《世界で一人ぼっちになったとき/なんで僕だけだと思った/すぐそばにある宝物に/気づいていられる自分でいたい》と、孤独に寄り添うような柔らかい歌声で歌う。鮮やかなストリングスも、鼓動のように躍動するドラミングも、感情の昂りが乗り移ったかのように吉田のところどころ震える歌声も……すべての音と歌が楽曲で描かれている想いを120%具現化するために鳴っている。

なんでも数字で可視化されてしまう時代だが、数字に表れないこと/ものに大切なことはいくらでも存在する。本作は「進研ゼミ高校講座55周年オリジナルソング」として書き下ろされた楽曲で、主軸は勉学に勤しむ人々に向けての応援ソングだが、全方位的に何かに頑張る人々に刺さるであろう圧倒的な包容力がある。約2ヶ月前にドロップされたセカンドアルバム『Candle』で進化したマルシィの「伝える力」はさらに広く強くなった。(小松香里)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)


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