jo0jiが歌うと、世界の規律が崩れ落ちる音がする

jo0ji『escaper』
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鳥取県の漁港で働きながら音楽制作をしている、jo0ji。彼の魅力は、人生の複雑さそのものを表す声、日本のフォークやロックンロールから現行のR&Bやヒップホップまでを行き来する歌い方、1曲の中でカタルシスまで持っていく時間芸術としての音楽の操り方など、挙げ出すとキリがないのだが、特に惹きつけられるのが詩。あらゆる価値観が揺らいで崩れていく今の時代そのものを音で鳴らし詩を綴っているように聴こえる。最新曲“escaper”ではそんな「揺らぎ」を、身体を揺らしてくるサウンドプロダクションでも表現。1曲の中で、美しい詩を綴る感性の持ち主なのに《上手いこと言葉に出来ればいいのに》と歌い、そのあと《伝えることが億劫なの》と続ける。“不屈に花”では《意味はいつでも迎えにいくものでしょう》と言ったが、ここでは《意味などは知らないよ/てか要らないよ》と言う。それでいい。「揺らぎ」や「この世のすべては不確かである」ということを受け入れさせてくれるのが、jo0jiの音楽なのかもしれない。(矢島由佳子)

(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)


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