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中島健人とキタニタツヤ。このふたりの才人による驚きのタッグ、GEMN（読み方：ジェム）。彼らのデビュー曲でありアニメ『【推しの子】』第2期のオープニング主題歌として書き下ろされた“ファタール”は、中島、キタニ、そして『【推しの子】』という3者が、とても深い場所で出会い、混ざり合い、産み落とされた1曲だ。ボカロPのGigaもアレンジで参加しているエキゾチックで狂騒的、かつハイスピードなトラックを見事に乗りこなす、ふたりの艶やかでしなやかな身体性。歌詞の世界観は『【推しの子】』に寄り添いながら、その言葉はもはや中島とキタニ、ふたりの表現者の「業」の領域にまで落とし込まれている。何故、創り続けるのか？ 何が自分にとっての光なのか？ 何が自分の中に根づく悲しみであり、傷であり、「狂い」なのか？――優れた表現者とは、人に「見られる」覚悟だけでなく、人間を、自分を、「見る」、その眼差しの深さと強さによって成り立つ。GEMNの、その内的な視力に貫かれる1曲。（天野史彬）（『ROCKIN'ON JAPAN』2024年9月号より抜粋）
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