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今にも散り散りになり、儚く飛び散ってしまいそうな心模様が音楽の中で結びつけられる。君の中に見る死と、僕の中に見る死。死を歌うのは、それだけTeleにとって音楽がリアルなものだからだ。この“包帯”には、かつての“バースデイ”のような怒りはなく、自分自身の愚かしさを見つめる眼差しがある。《明日また、僕じゃないといいな。》という歌詞に、死に怯える自分自身を隠したままでいられない彼の正直さがある。《解けてゆく君の、/結び目に僕はなれやしなかった。》と歌われるが、それでも音楽は糸となって様々な想いを縫合していく。ささやかでオーガニックな演奏には、この曲に刻まれた個人的な思いをドラマチックに仕立て上げることを許さない誠実さが表れている。ドラムが素晴らしい。大橋トリオや崎山蒼志のバックも務める高橋直希の、すべてを受け止めるようなドラム。この極めて個人的な質感を持つ曲がTeleにとって初のタイアップ曲であることが、Teleがどういうアーティストであるかを物語っている。(天野史彬)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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