3年ぶりとなる6作目。前作『メッズ』は陰影の深い世界観が先に立つ作品だったが、モルコも「カラフルにしたかった」と語っている通り、今回はエネルギーに満ち溢れている。ユニゾンのコーラスが印象的な“アシュトレイ・ハート”を始め、曲が進むに従って熱量を上げていくアルバム・タイトル曲、そして後半ホーン・セクションまでもが登場するファースト・シングル“フォー・ホワット・イッツ・ワース”など、のっけから温度が高い。きらびやかなギターがフィーチャーされた、そのものずばり“ブライト・ライツ”なんてタイトルの曲もある。でも、このバンドの核はずっと変わっていない。
心の深い奥底へと潜るために武装したような激しくも徹底的に鍛え上げられたバンド・サウンド。そこに映し出される光と影を描くために研ぎ澄まされたギターの旋律。そして心の動きをそのまま原動力にして鮮やかな曲線を描き出すモルコのボーカル。ここまで奥行きのあるロックを鳴らせるバンドはそうそういない。トゥールのファンとスウェードのファンが一緒に聴ける数少ないバンドの一つ。(古川琢也)