今の日本のギター・ロックの潮流には思いっきり背を向けるような一枚である。そして、そのことが本作をとても痛快なものにしている。彼らにとって、“音楽”という曲は一つの答えになったのだろう。だから余計なジレンマや焦燥もなくなったのだろう。多彩なルーツと器用なセンスを持っていたゆえに新感覚のミクスチャー・ロックというイメージもあった彼ら。けれど彼らのやりたいことは「混ぜる」ことではなかった。ロックという音楽が核心に持つ熱いマグマのようなものを、そのまま取り出すことだった。
コード・ストロークではなく、あくまでリフを根っ子においたロックンロール。「ギター・ヒーロー」という言葉がしっくりくるギター・ソロ。サイモン&ガーファンクルを思わせる透明感あるメロディ。60〜70年代のクラシック・ロックに憧れる精神性が、このアルバムのベースになっている。ときにはロックの名曲のリフがそのまま出てきたりもする。しかしそれは単なるリバイバルやレイド・バックではない。あくまで今を照らすための“光”のようなものとして鳴らされている。すごく感動的な一枚。(柴那典)