ガールズボーカルバンドは多けれど、女性の可愛らしさだけではなく、核にある怖いほどの強さを体現しているバンドはそうそういない。そしてUPLIFT SPICEは、その代表格である。紅一点ボーカル千織が、キュートなルックスをかなぐり捨てるように歌い上げる、人間の奥底に潜む真理は、作品を出すたびに赤裸々になっていく一方だ。約１年ぶりのアルバムとなる今作では、歌詞に宇宙や世界を思わせるキーワードがちりばめられているような、スケールの大きい場所まで行き着いてしまった。それでいて、インパクト勝負というよりは、しっかりとメロディを聴かせる楽曲も数多く、音楽的な成長も感じることができる。また、大きなスケール感の中で、“あみだくじ”や“プレゼント”といった、タイトルからして人懐っこい楽曲の存在も効いており、バランスがいい。前々からインタビューの時に、広く音楽シーンを見る視点が備わっていると思わせられるバンドだったけれど、今作では「広く届けることができて、それでいて自分たちらしい」方向性を追求したのではないだろうか。そう思える力作。(高橋美穂)