ロックは宿ってしまうもの

ザ・ビートモーターズ『気楽にやろうぜ』
ザ・ビートモーターズ 気楽にやろうぜ
10年に一度の「ロックな声」を持つボーカリストの登場だと思う。ずいぶん前から、評判が評判を呼んでいた4人組ビートモーターズの初音源、ついに全国リリースである。まずは聴いて、フロントマン秋葉の野性味と優しさを同時にバズーカ砲でぶっぱなすような、ぶっとい歌声に痺れてほしい。そして次に、彼らがいきなり手に入れている、ロックバンドとしてのありそうもなさに気づいてほしい。鳴らしているのはレトロ感すらある、昔ながらのロックンロール。音数も言葉数も多くないし、歌詞だって日本語でシンプルそのもの。それなのに、一発でこっちのアタマをぶっ飛ばす強烈な破壊力が、声、演奏、歌詞、無愛想なたたずまいの全てに宿ってしまっている。どうしてこんなことができるのか、それはよくわからないし、彼ら自身にもまだ全然わかっていない。それでも、行き先だけは決まっている。《荒れ狂った悪魔の海か/底なしの地獄の沼か/出かけようぜ/ばらいろの世界へ》。そこに辿り着いた時、彼らは間違いなく10年に一度のロックバンドになっているはずだ。一緒に出かけるほかないだろう。(松村耕太朗)
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