理想的な「新生」

ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ『ビート・ザ・デビルズ・タトゥー』
2010年03月17日発売
ALBUM
脱退/再加入と落ち着かなかったドラマーのニックに代わって、レヴォネッツのサポート・メンバーとして活躍していた女性ドラマー=リア・シャピロが加わったブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ。そしてこのニュー・アルバム(インスト作を除けば『ベイビー81』以来の通算5作目)は、ドラマーの技術云々といったレベルでなく、生まれ変わったバンドとしての気概に満ち満ちた素晴らしい作品だ。個人的には、今までの彼らのアルバムの中で一番好きかも知れない。

全体的な印象としては『ハウル』の楽曲バリエーションの多彩さを、これぞブラック・レベル・モーターサイクル・クラブという暴風圏ギター・ノイズで描き出したという印象。いいとこ取りなのである。オープニングのタイトル曲は渋いタッチなのだが、その直後に猛り狂う2曲目のロックンロールで、思わずガッツ・ポーズしてしまった。“ザ・トール”というフォーキーなナンバーでは、女性の美しいハーモニー・ボーカルが重なってくるのだけれど、これ、リアの声だろうか。凄い武器になるぞ、これは。本作のアルバム・タイトルは、彼女に紹介されたエドガー・アラン・ポーの短編の中からピックしたそうだ。(小池宏和)