いろいろ欲張りなアルバム

クルッカーズ『トンズ・オブ・フレンズ』
2010年04月14日発売
ALBUM
昨年秋に日本編集盤としてリリースされたアルバム『Put Your Hands On Me』と数曲の重複が見られるのは致し方ない所だと思うが、イタロ・エレクトロ期待の星、クルッカーズの正式なデビューアルバムである。あらかじめ多方面からのボーカリスト参加を念頭に置いた作風は相変わらずであり、アルバム・タイトルからしてこんな風に大きく出てしまう感じが痛快。ブラック・アイド・ピーズのウィル、スパンク・ロック、モロコのローシーン、イェール、シャーラタンズのティムといった面々が招かれている。個性そのものの声を持った人物ばかりだ。

00年代エレクトロ・マナーのノイジーなトラックとともに、まるでグロッケンシュピールやスティールパンのような、小気味良い音をコミカルかつメロディアスに響かせてゆくのも印象的だ。つまりキャッチーでポップ。でも、完全にリスニング仕様のポップ・アルバムなのかというとそうではなく、トラック自体は実に重量感があり、そのままフロア対応のサウンドとしても機能するはずである。キッド・カディの“Day 'N' Nite”はアカペラ・バージョン。これがまた面白い。(小池宏和)