実は堅実派

ニュー・ヤング・ポニー・クラブ『ジ・オプティミスト』
2010年04月21日発売
ALBUM
ニュー・ヤング・ポニー・クラブ ジ・オプティミスト
デビュー・アルバム『ファンタスティック・プレイルーム』が、ニュー・レイヴ真っ盛りの07年夏にリリースされ、ヨーロッパでは一大旋風を巻き起こしたNYPC。あれから2年半、ニュー・レイヴの波はとっくに希釈化して、エレクトロというガジェットはポップ・ミュージック・シーン全体を覆い、彼らも所属レーベルだったモジュラーを抜け、自分たちのレーベル「The Numbers」を立ち上げた。そうしてリリースされるのがこのセカンド・アルバムだ。

クラクソンズの新作がいまだ完成しないのが象徴的な通り、ニュー・レイヴ勢のセカンドというのはすべからく逆風が吹いているのだけど、このNYPCはその逆風をうまくかわしたというか、正念場を見事に切り抜けている。サウンド的にも、リリックの面でもパーティー一辺倒になることを周到に避け、よりダークにニュー・ウェイヴ色を強めた本作は、カラフルなイメージの裏にこのバンドが隠し持っていた豊穣な音楽的ポテンシャルを伝えてくれる。

日本の場合、ファーストで盛り上がったかというと、そこまででもなかったりするので、このバンドを再発見するいい機会かも。(古川琢也)
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