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バンドの結成年がタイトルになっている通り、メンバーが青春を過ごした「90年代」が大きなテーマとなっている今作。“桜”のスカ、“Boys be an Vicious”のTHE MAD CAPSULE MARKETS節、“Guilty Man”のニューメタル、ヴィジュアル系黎明期の空気を纏う“Round & Round”などなど、当時を知る者としては懐かしさを感じるアレンジにニヤリとさせられる。だが、驚くべきはそのすべてを吸収して乗りこなし、紛うことなき「MUCCの新曲」に仕上げていること。血肉になっているルーツと、経験を重ねた今のスキルや音楽的好奇心が見事な化学反応を起こしている。楽曲ごとに次々と新しい表現を繰り出す逹瑯(Vo)をはじめ、メンバーの柔軟なセンスとバランス感覚に脱帽だ。さらに、歌詞には2025年を生きる結成27年のバンドのリアルがしっかり刻まれ、ラストナンバー“Daydream Believer”の力強く切実な叫びに心を射貫かれた。30周年を視野に入れながら、MUCCはまだまだ新しい扉を開けようとしている。(後藤寛子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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