1月2日に公開されたヤングブラッド×スマッシング・パンプキンズの“Zombie”が画期的である理由は大きく2つ。
まず、これがスマッシング・パンプキンズの長きキャリアにおける初のフィーチャリング参加であること。昨年リリースされたヤングブラッドの最新作『アイドルズ』の中でもとりわけ大ヒットしているこの楽曲を早くも再構築するという、ある意味リスクを孕んだオファーをビリー・コーガンが呑んだのは、昨年7月に行われたブラック・サバスのフェアウェルイベント「Back to the Beginning」において初対面する以前からヤングブラッドを称える発言を繰り返していたこと、つまり本心より彼のことを評価していたからに他ならない。もちろん、長年のファンからしても未だその言動を予期できない「アンチェイン」な存在であるビリーに依頼のメールを送ったヤングブラッドの勇気があってこそ起こった奇跡でもある。
もう一つは、自身のルーツを振り返り一つ一つ掬い上げリビルドしていくような作品であった『アイドルズ』の中でも、流麗なストリングスで大仰なメロディを飾る“Zombie”は、トラヴィスや初期コールドプレイ、スノウ・パトロールなど叙情派英国ロックの影響を色濃く感じさせる楽曲であったこと。言わずもがな米国のグランジ〜オルタナの権化であるスマパンがそれを演ると、どうなるのか。既に本音源を聴いた人は存分に感じたであろう通り、重厚で美しいギターも壮大に喧しいドラムも、ビリーのボーカルも、滅法合っているのである。“トゥナイト、トゥナイト”や“トゥデイ”の叙情性の先にはこの壮大なメロディが広がっていてもいいはずだというビジョンが、『サイアミーズ・ドリーム』に若き日を支えられたというヤングブラッドには見えていたのだ。本当に偉い。
ジェームス・イハとジミー・チェンバレンが揃った現体制で正面からオルタナティブロックに回帰した力作『Aghori Mhori Mei』をリリースしたスマパンと、前述の『アイドルズ』モードであったヤングブラッド。どちらのタイミングが異なっても、本“Zombie”は成立しなかったはず。この稀有なるロックのバトンリレーの儀、有難く、繰り返し堪能したい。(長瀬昇)
ヤングブラッド×スマッシング・パンプキンズの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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