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2025年からmurffin discsに所属して新しいスタートを切ったChimothy→。今作の幕開けを飾るのは、爽快で痛快なバンドサウンドと共に《飛び込む 2025/物語が始まる!》と高らかに宣誓する“猫ニモマケズ”。《わたし走るだけ!/進むだけ!心躍る方へ》という宣言の通り、彼女たちはとにかく走る。“さよならファットネス”では、《麗しく輝く私を目指して今日も走れ》と理想の自分に追いつくために走る。“夢見るボイジャー”では、《ハイウェイ》の《暗闇の中》を走る。《翼はない、飛べないや/だからもがいて走るしかないな》。極めて切実である。しかし時として、何も持たないこと自体が武器になることがある。身軽だからこそ、速く走れるし、遠くを目指せる。初期作のタイトルを冠した“OUR HOLE TOWN”では、忘れたくない大切な場所に馳せる想いが歌われているが、いつでも「ただいま」を言える場所があるからこそ、彼女たちは強く走れるのだろう。ポップなサウンドの中に切なさが滲む“カーテン”も素晴らしい。(松本侃士)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年6月号より)
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