待望の５thアルバム。魂の作品における最重要ポイント、すなわちおもしろいか？　死ぬほど笑える。パロディ、下ネタ、シュール、身内ネタなどなど、その専売特許である「笑いの錬金術」がこれでもかというほど凝縮されているのだ。朝、突如、女子高生になったおっさんの感情を歌う“High School”、《有名になって パチンコになりたい》という謎のトラック“有名になりたい”、そしてこの時代にあえて反ＩＴ宣言を掲げる“ブログやめました”などなど、絶対に逃れられない笑いのトラップが無数に仕掛けられている。

一方で、従来型の魂スタイルからもう一歩先に踏み込んだ音楽的なトライアルも。“勃発！バンド内抗争〜グループ魂にスチャダラパーまで〜”では、ヒップホップに挑戦し、“片付けられない７Days〜グループ魂に杏子が〜”では、バービーボーイズを彷彿とさせる80sサウンドをバックに、なんと杏子本人と破壊の掛け合いが実現。こんな言い方もなんだが、ミュージシャンとして全うに、きちんと音楽を作り上げようとする意志とその手ごたえを、今作ではより強く感じることができるのだ。その「異形さ」が、ますます顕在化した作品。（洪弘基）