ネバー・ネバー・ラブUKカルト・ヒーロー最新形にしてジャーヴィス・コッカーもお気に入りのポップ・リーヴァイ、前作から1年で早くも新作が到着である。グラマラスでサイケデリックでいかがわしさ満点のロックンロールは相変わらずで最高。ただしサウンドの引き出しは着実に増えていて、アコースティックなバラードがあれば、ソウルやファンク、ディスコのテイストも感じることができる。前作を髣髴とさせる“Wannamama”で始まり、ストリングスとシンセサイザーが思いっきり80sなバラード“Fountain on Lies”で終わるという構成を見るに、この「進化」は完全に意識的なものだろう。マイコーゆかりのウェストレイク・スタジオでレコーディングをしたそうだが、よくよく耳を澄ましてみれば、リヴァーブのかかったボーカルとガリガリいうギターを除くと、ものすごくスマートな音が鳴っている。そのせいでこの男の変態性と類まれなポップ・センスがよりクリアに浮かび上がっている。前作の“シュガー・アサルト・ミー・ナウ”のビデオも笑わしてもらったが、今作表題曲のビデオもレトロでギラギラしていて、めちゃくちゃカッコいい。(小川智宏)