【インタビュー】THE YELLOW MONKEY、最新曲"CAT CITY"で魅せる、大胆不敵な最強バンドとしての今

【インタビュー】THE YELLOW MONKEY、最新曲"CAT CITY"で魅せる、大胆不敵な最強バンドとしての今
♪ネコニャンパリ ネコニャンパリ 人間だりぃ〜、である。♪いつもすぐに調子に乗り あの世のこの世のセカオワ〜、である。吉井和哉の天才ロックリリックが全開放、そしてエマ作の曲もピュアピュアな直球ロックンロール、ヒーセのベースもアニーのドラムもノンストップで突き抜けちゃっている。再結成を経て、吉井和哉の病気療養も経て、東京ドーム公演も経て、そしてフェス出演やロングツアーも経て、ザ・イエロー・モンキーはここまで来た。この曲はノリは軽いが、イエモンが奉るべきレジェンドなんかじゃなく大胆不敵にロックの最前線に立つ最強バンドであることを見せつける画期的な曲だ。ドライで不遜でちょっとかわいくてでもなんかディープな、イエモンにしか出せないロックの味は絶品である。この“CAT CITY”の誕生秘話はもちろん、ツアーの話、そして今のイエローモンキーに対する4人の思いや人生論、いろんな話を聞きました。

rockinon.comでは、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号のインタビューの内容を一部抜粋してお届けします。

インタビュー=山崎洋一郎 撮影=大野隼男


ツアーをやりながら、「ツアーをやったほうが治るんじゃないですか」みたいに、冗談半分でよくスタッフと話してた。
本能的に細胞が活性化して「野性の証明」の頃に戻ろうとするというか(吉井)

──今はツアー「THE YELLOW MONKEY TOUR 2024/25 〜Sparkleの惑星X〜」のFINAL BLOCKの真っ只中で(取材時)。4月までのホールツアーは、ブロックごとに、『Sparkle X』と昔のアルバムがセットになるっていうテーマ設定がされていましたね。

吉井和哉(Vo・G) そうですね。

──それでFINAL BLOCKが「野性の証明」とのコラボっていうのは、ファン的には嬉しいよね。

菊地英昭(G/以下、エマ) 自分たちの中でも「野性の証明」ツアーっていうのはすごく大きな⋯⋯。

吉井 成長期のね? バンドとして。

エマ そう。いちばん笑顔が多かったツアーじゃないかな。だから、その頃を思い出しながらできるし。ライブバンドとしての自分たちに合ったセトリにもなってるなあと思ってて。

──「野性の証明」って、当時リアルタイムじゃなかったファンも今はすごく多いから、観たかったナンバーワンぐらいのツアーですよね。

菊地英二(Dr/以下、アニー) そう、観たかった度が強かったと思うんですね。あとは、これをやると完結しますよね。これでFINAL BLOCKを『SICKS』とのコラボにすると、じゃあ『PUNCH DRUNKARD』どうすんだ、『8』どうすんだってなっちゃうじゃないですか(笑)。

吉井 「どうすんだ!」とね(笑)。

アニー でも、これなら95年、96年ぐらいのイエロー・モンキーを自分たちでオマージュしてやってるんだっていうのが完結するかなと思ったので。

廣瀬洋一(B/以下、ヒーセ) FINAL BLOCKの「野性の証明」のオマージュの面白いところは、あのツアーでは結構アルバム曲をやってるんですよね。シングル曲、ドワッ!っていうスタイルのツアーじゃないところに加え、今の僕らの新譜とのコラボ感で、BLOCK.1、2、3とは違った見方にもできる。バンドの成長期的な時代とコラボをすることで、ストロングスタイルなツアーにできるなと。

──じゃあBLOCK.1からFINAL BLOCKまで、それぞれ、いいバランスになってるってことなんですね。ただ全体として見ると、本数的にはここ最近なかったロングツアーで。同時に、吉井くんの喉の問題があるから、それなりの緊張感や不安もあったと思うんだけど。ツアーの日々はどうでした?

吉井 なんて言ったらいいんだろ。『Sparkle X』自体が病気になってから作ったアルバムで。復帰後の活動が、“ホテルニュートリノ”から始まったじゃないですか。ニュートリノっていうのは──僕的には、ざっくり言うと「意識」みたいなものとして解釈している部分があるんです。以前は「神様」とか「魂」みたいに括ってたものがリアルに自分の中に根づいてきて、自分が歌いたかったことってこういうことだったのかなって。今回のツアーはそういうものも含めた自分の意識と、オーディエンスの意識や応援、願いとが交わると、「あ、こういう奇跡ってほんとにライブで起きるんだ!」みたいな。たとえば、大谷(翔平)選手がまさかのホームラン打ったりするのって、お客さんの願いとか思いも手伝ったりするじゃないですか。若い時はそういうのって絵空事というか、「いや、本人の実力でしょ」と思ってたんだけど、そうじゃない奇跡が起きるんですよね。そういうのって、これから科学的に説明されるんじゃないかな、みたいな。

アニー うん。科学は未熟だね。わかってないんだなと思いますよ。

吉井 ははは!

アニー まあ、俺もわかってないけど(笑)。でもそういうのって、なんにもないところには絶対生まれないと思うし。ロビン(吉井)が言うように、ドームから今回のツアーにかけて、バンドの固まり感も含めて気持ちにゆとりができて、汲み取りやすくなって。ロビンが言ってることもわかるし、自分もそういう時あるし。若い時ってお客さんにパワーもらって、「ありがとうございました!」って口では言ってたんですけど、そこまで実感できてなかったんですよね。最近は、ステージに上がった時の高揚感も含めて──。

吉井 覇気みたいなやつね。

アニー うん。いただいてるなあっていう感じがする。自分たちがエネルギーを出してるだけじゃなくてね。

吉井 交換をしてるね。

アニー そう。その相乗効果でエネルギーが渦巻いてるなあっていうのは、すごく思いますよね。

吉井 このツアーをやりながら、「ツアーをやったほうが治るんじゃないですか」みたいに、冗談半分でよくスタッフと話してたんですけど。治すために安静にしてるっていうのもひとつあると思うんですけど、年齢も年齢だし、歌ってないとどんどん筋肉も硬くなってくから。正直BLOCK.1の前半は、全然声が出なかったんですよ。ほんとにもう、やめようかな、引退だろう、みたいな感じの時もあったんだけど、BLOCK.2、3になってくと、だんだん出てくる瞬間があって。やっぱ必要に迫られると、火事場のクソ力じゃないけど──その「火事場のクソ力」って言葉ももしかしたら、そういうひとつのね?

アニー そうなんだよね、うん!

吉井 そういうスピリチュアルなワードかもしれないし。だからやってよかった。FINAL BLOCKの初日、札幌の時なんか、リハだと結構しんどかった曲も本番では声が出たりとか。面白いですよね。本能的に細胞が活性化して「野性の証明」の頃に戻ろうとするというか。「おまえ、筋肉こう使ってたよ」みたいな。そういうのは、1、2、3でもあって。「そんときゃこうやってたよ」って、ドラマーなんか特にね。

アニー (笑)。アルバムごとにスタイルがあるからね。ドラム、ほんと面白かったですよ。『smile』のBLOCK.2はまったく疲れなかった。『jaguar hard pain 1944-1994』のBLOCK.1も疲れなかったけど、BLOCK.2は違う意味でまったく疲れなくて、物足りないぐらい(笑)。『smile』の頃ってやっぱり、エネルギーをちょっと整理しすぎてたのかな。それが『FOUR SEASONS』になると、「もうごめん!」ぐらい疲れるんですよ(笑)。

吉井 はははははは!

アニー こんなに直線的にドラム叩いてたか!みたいな。「野性の証明」もがっつりいってた頃なんで、かなり体力的にきますけど、面白いんです。

吉井 『jaguar〜』の曲はハードなのに「楽だ!」って言ったりするしね。若い時に自転車に乗ってれば今も乗れるみたいな、ねえ、若い時に覚えたことはできるみたいな感じだよね。

【インタビュー】THE YELLOW MONKEY、最新曲"CAT CITY"で魅せる、大胆不敵な最強バンドとしての今
──長いツアーで、ものすごい数のお客さんと空間と時間を共にするから、だんだん循環が起きてきて、そうなったのかもしれないですね。

吉井 そうですね。ずーっと観に来てるファンも、体の調子よくなってきてるんじゃないですか?

ヒーセ ご利益あるよね(笑)。

吉井 「なんかお掃除が楽になったわ」とか言ってそうですよ。

エマ でもまじでそういう研究あるよ。

吉井 出た! エマの調査(笑)。

エマ ライブを週何回か観ると寿命が延びるっていうのがあって。

吉井 へえー! いいこと言うねえ。

──(笑)ヤバいなこの会話。

エマ 人って、そういうとこに行くことで、なんか活性化されるんですって。

次のページエマの曲は特に、僕が自由になれる。
そういう雰囲気も、今のイエロー・モンキーの佇まいと共通してるところがあるんでしょうね(吉井)
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