【インタビュー】自由に踊って、身体と心を解き放て! Lucky Kilimanjaroがニューアルバム『ONDO』で証明した「踊る=人生」の素晴らしさ

【インタビュー】自由に踊って、身体と心を解き放て! Lucky Kilimanjaroがニューアルバム『ONDO』で証明した「踊る=人生」の素晴らしさ

音楽と身体を共振させ、内なる感情を解放する──。Lucky Kilimanjaroのニューアルバム『ONDO』は、踊ることの楽しさと素晴らしさをダイレクトに体感できる作品だ。2023年春にリリースされた前作『Kimochy Season』以来、フィジカルに直接訴えかける音楽を追求してきたラッキリ。そこで得た確信とスキルを注ぎ込んだ本作『ONDO』は、身体と心をアクティブモードへと変換させると同時に、このバンドの存在意義を強めることにもつながっている。ロック、ソウル、ハウス、エレクトロスウィングといった多彩なサウンドをラッキリ流のダンスミュージックに結び付けるセンスと技術も本作の大きな魅力だ。熊木幸丸(Vo)が「聴いてくれた人の感情が沸き立つ作品になると思っています」と胸を張る『ONDO』。本作に至る経緯、バンドの変化と進化などについてじっくりと語ってもらった。インタビュー=森朋之

音楽の楽しみ方はもっと適当でいいというか(笑)、自由奔放でいいはずなので

──前作『Kimochy Season』以来となるニューアルバム『ONDO』がついにリリースされました。前作以降もEPや配信シングルを次々とリリース、ライブの規模も拡大し続けるなど充実した活動を続けてきたわけですが、熊木さん自身はこの3年半をどう捉えていますか?いろんなことがありましたね。前作の『Kimochy Season』を出した頃は、まだコロナの影響があって。ライブの楽しみ方が制限されている状態から緩やかに戻ってきた時期だったんですが、自分としては「みんなの踊り方、楽しみ方が変わってしまった」という印象もあって。音楽を聴いて身体を動かすことが減ったというか。まずは音を情報として認識してから、そのあと楽しみ方や動き方を作っていくようになったと感じたんです。だけど、音楽の楽しみ方はもっと適当でいいというか(笑)、自由奔放でいいはずだし、反射的に味わってほしくて。それを実現するためには今までのLucky Kilimanjaroの曲だけではなくて、もっと身体に作用する曲が必要だったし、「ダンスミュージックをフィジカルに楽しんでほしい」という思いが強くなっていく中で、“でんでん”という曲ができて。お客さんも少しずつ音と身体をシンクロさせながら踊ってくれるようになって、その手ごたえが今回のアルバムのスタートになっているんだと思います。──“でんでん”が起点だった、と。そうですね。“でんでん”はベースミュージック、ハウスミュージックを取り入れながらポップスに落とし込んでいて。この曲が加わったことで、自分たちのダンスミュージックを伝える場所が確立できたんじゃないかなと。音楽を解釈したり、頭で理解することも面白さのひとつではあると思うんですけど、自分にとって音楽は、動きと空間の中で楽しむ芸術なんですよ。ダンスミュージックのプリミティブな部分を大事にしたかったし、そこに向かって進んできた3年半だったと思います。──なるほど。そもそも熊木さんが「音楽=踊って楽しむ」「フィジカルに作用する」と捉えるようになった原体験はなんだったんですか?いろいろあるんですけど、自分の中で衝撃的だったのはフェニックスのライブですね。最初に観たのはサマーソニックだったと思うんですけど、自分にとって「音楽ってこんなに楽しいんだ!」という体験になっていて。あとは「TAICOCLUB'14」というフェスで観たジョン・ホプキンスだったり、クラブよりライブシーンで観たアクトから刺激を受けることが多かったと思います。今回のアルバムにつながるところでいうと、2022年のフジロックで観たボノボも大きいですね。バンドセットでしっかりダンスミュージックをやっていて、音楽的なクオリティ、感情表現の熱量もすごくて。ドラムの柴田昌輝も「今までのベストライブだった」って言ってたんですよ。そういう経験や記憶をもとに、どうやって自分たちらしいポップスに結び付けるか?という3年半でもありました。
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「ダンスミュージックは心の温度を上げる」というのも自分たちのテーマ

──アルバムタイトルの『ONDO』は「音頭」と「温度」のダブルミーニングだそうですね。自分たちがやっている音楽もそうだし、今のLucky Kilimanjaroの空気感としてもピッタリだなと。「乾杯の音頭を取る」という言い方がありますけど、「音頭」にはみんなを引っ張る音という意味合いがあると思っていて。もちろんお祭りのイメージもあるし、このアルバムでやろうとしていたことにつながってるんですよね。もうひとつ「ダンスミュージックは心の温度を上げる」というのも自分たちのテーマで。──心と身体を同時に動かす、と。そう、心と身体はつながっているので。2024年に『Dancers Friendly』、『Soul Friendly』という2枚のEPを出したんですよ。身体で踊る、心で踊るというテーマだったんですけど、「これって一緒だよな」という結論に至って。身体で反応することは心の中の感情を引き出すことにつながるし、新しい視点だったり、それまで見えてなかった景色や思いが湧き出てくる。このアルバムも聴いてくれた人の感情が沸き立つ作品になると思っています。──その先にはもっとポジティブな日常があるはずだという願いもある?それもそうだし、喜怒哀楽に触れること、いろんな気持ちを感じること自体が豊かだなと思ってるんですよね。それが生きている実感につながるというか。子どもが生まれたことも大きいです。生まれる前もそうだし、今もいろんなことがあって。忙しいし、余裕がないなと感じることもあるんですけど、それも含めて自分の気持ちをちゃんと楽しみたいんですよね。過ぎ去ってしまえば、どんなことも楽しさとして数えちゃう気もするし(笑)。──めっちゃポジティブですね!(笑)楽観主義というか、そういうことも全部含めて「踊ってりゃなんとかなるでしょ」という感じがあるんですよ。1曲目に入ってる“楽しい美味しいとりすぎてもいい”もそういうテーマの曲だし、そういう考え方は今回のアルバム全体につながっていると思います。──アルバム『ONDO』の新曲は5曲。制作はどうでしたか?既存の楽曲もかなり入ってるので、全体のバランスを見ながら作っていきました。個人的にやりたいこともあるんですけど、いくら僕が「この曲を入れたい」と言っても、結局はバンドメンバーがいい曲だと思わないと採用されないんです。まずデモ音源を共有して、メンバーに品評してもらって。──品評というのは「曲はいいと思うけど、このパートはブラッシュアップできるんじゃない?」みたいなことですか?優しいレベルだとそういう感じですけど、「メロディが入ってこなかった」「良さがわかんないっす」みたいなことも全然あって。あとは「サウンドの質感がいまいち」とか。──結構シビアですね……。もう慣れましたけどね(笑)。それを受けて、曲を練り直したり、新しい曲を作ったり。それを何度も繰り返して、最後に残ったのがこの5曲です。──まずはメンバーが気に入ってくれて、気持ちよく演奏しないとリスナーも楽しめないということ?それもあるし、僕の独断で作っちゃうと天邪鬼なところが出てしまいがちなんですよ。「逆の逆の逆をやろう」みたいな発想になっちゃったり(笑)。作ってるときは楽しいんだけど、あとで「やりすぎちゃったな」ということも結構あって。そういう部分を、メンバーに聴いてもらうことでフィルターに通して、いい成分だけを残しているような感じです。6人いるといろんな意見があるし、それを聞くのもシンプルに面白くて。リスナーのみなさんにもいろんな意見や感想があるだろうし、メンバーとのやり取りの中で、それを事前に試している感じもありますね。
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