この曲が傍らにある限り、私たちは《無限さ》。Lucky Kilimanjaroの新曲“無限さ”を聴いて

この曲が傍らにある限り、私たちは《無限さ》。Lucky Kilimanjaroの新曲“無限さ”を聴いて
Lucky Kilimanjaroから、約3ヶ月ぶりにニューシングル『無限さ』が届けられた。

ラッキリは今年に入ってから、凍える寒さに耐えながら春の芽吹きを待つ“Heat”、4thフルアルバム『Kimochy Season』に収録された、切なくも明るい春の別れを描いた“またね”、一度しかやって来ないこの夏に踏み出せと誘う“後光”と、移ろう季節の美しさやその季節を過ごす私たちの心の機微を、見事なダンスミュージックに昇華させてきた。

そして今作の表題曲“無限さ”は、秋の物悲しさや切なさを感じさせるサウンドに乗せて、落ち込んだり泣きそうになるお互いの心に寄り添い合う僕と君の姿を描いている。


長かった夏を終え、ようやく訪れた秋。うだるような暑さから早く解放されたいと、あんなに秋を待望んでいたはずなのに、外に出たら思ったより肌寒かったり、日が落ちるのが早くなったり、リンリンと虫が鳴いていたり、いざ秋の気配を感じると、わけもなく寂しくなったり悲しくなったり、謎の焦燥感を覚えるのは私だけではないはずだ。

そんなふうに今、なんとなく沈む気持ちを抱えている人に(季節の変わり目が理由ではない人にも)こそこの曲を聴いてほしい。“無限さ”は、直接的な言葉で私たちを鼓舞したり慰めたりするわけではない。しかし《うつむき とぼとぼ歩いていたら/星が見えるよって教えてあげる》と、途方もなく優しいやり方で上を向かせてくれる。

手を引っ張って先へ先へと連れて行ってくれるわけではない。しかし、《泣きそうな気分なら/僕はその背中 手を置く》と、ただじっと側にいてくれる。

私はこの曲を聴きながら、大切な人の顔が思い浮かんだ。そして固くなった身体の奥がじんわりと温かくなっていくのを感じ、気づけばビートに乗って身体が動き出していた。知らぬ間にそっと背中を押してくれる、大切な人を大切にしたいと思える、そんな静かで深いパワーを携えた曲だ。(藤澤香菜)


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