【10リスト】THE YELLOW MONKEY、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】THE YELLOW MONKEY、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
1989年12月に始動。コツコツと鍛錬を積みながら、クオリティにおいても、数字においても、日本の音楽シーンを代表するロックバンドとなったTHE YELLOW MONKEY。およそ12年の解散期間はあったものの、メンバーや周囲の状況、さらには社会情勢などの荒波の中で感情を揺さぶられながら、そのすべてを愚直なほどに表現へと落とし込んできた。

今回は膨大な彼らの名曲から、悩みに悩んで10曲をセレクト。それぞれの楽曲から、そのときのバンドの状況や時代が見えてくると思う。なお、彼らはライブのセットリストを代表曲や新作のみならず、意外なところから引っ張ってくるバンドである。今回の選曲も、ドームからライブハウスまでをイメージしながら考えたが、ぜひ、これをきっかけにディスコグラフィを総復習して、あなただけの10リストも考えてもらえたら幸いだ。(高橋美穂)


①WELCOME TO MY DOGHOUSE

1991年にインディーズでリリースされた『BUNCHED BIRTH』収録曲。2001年1月8日の活動休止前最後となった東京ドーム公演「メカラ ウロコ・8」で、「私たち普通の野良犬に戻ります」と言ってからこの楽曲を披露したエピソードは、あまりにも有名だ。現在に至るまで、ライブの興奮に火を点け続けるキラーチューン。初期の彼らに影響を与えたグラムロックらしい艶やかさや妖しさが際立っているが、この楽曲の魅力はそれだけではない。とびきりキャッチーなリフや、《私の首の鎖を》《すぐに外して》という、すべてのロック、というか鬱屈した感情に寄り添う歌詞が光っており、のちに国民的バンドとなる布石も感じられるのだ。《黒い見せ物小屋》から飛び出した野良犬たちの逆襲は終わらない。

②Romantist Taste

1992年にリリースされたメジャーデビューシングルであり、メジャー1stアルバム『THE NIGHT SNAILS AND PLASTIC BOOGIE(夜行性のかたつむり達とプラスチックのブギー)』収録曲。フェードインしてくるビートがワクワクを誘い、《Psyche neuron》《Gimme your neck》とシンガロングへ。さらに、明るいメロディとは裏腹な、逆ギレのようにアグレッシブな吉井和哉(Vo・G)の歌声で温度を高めてからの《そして夜は全てこの手の中》──野良犬の勝利宣言みたいで、心が躍った。
彼ららしい色っぽい描写を盛り込みつつ、《君の好きな赤い花の雄蘂と雌蘂もキスを交し》なんてロマンティックな表現も炸裂。時代を越えてときめきをふりまいている。
なお、2012年にはメジャーデビュー20周年企画の一環として、リミックスした“Romantist Taste 2012”がリリースされた。

③SUCK OF LIFE

1993年にリリースされた2ndシングル『アバンギャルドで行こうよ』カップリングであり、2ndアルバム『EXPERIENCE MOVIE(未公開のエクスペリエンス・ムービー)』収録曲。そう書くと少し地味な立ち位置に思えるが、実際はシングルヒット曲を凌駕する勢いで今もライブを盛り上げている。ハンドクラップするフレーズが脊髄に刷り込まれているファンも多いはずだ。なんと言っても吉井和哉と菊地英昭(G)の絡みが衝撃的なほどセクシーで、10代の頃「見てはいけないものを見てしまった……」と思った感覚は、今でも忘れられない。それでいて、きらびやかなピアノやズンズン響くビート、ひと匙の哀愁を加えたメロディなども強力。衝撃を越えられる名曲だからこそ、ずっと愛されているのだと思う。

④ROCK STAR

1994年にリリースされた3rdアルバム『jaguar hard pain 1944-1994』収録曲。本作はコンセプトアルバムであり、そのストーリーに引き出されたが故に“A HENな飴玉”“薔薇娼婦麗奈”“RED LIGHT”“赤裸々GO!GO!GO!”などインパクトの強い楽曲が多い。その中でも“ROCK STAR”が、シングル曲でないにもかかわらず長いことライブで披露される人気曲に成長したのは、『jaguar hard pain 1944-1994』のストーリーから抜き取って語ることができるほど、THE YELLOW MONKEYがロック・スターそのものだからだろう。特に、最後にリフレインされる《死んだら新聞に載るようなロック・スターに》というフレーズは、未だに彼らを比喩する際によく使われる。また、そういったズッシリとした意味合いを感じさせる一方で、♪テッテッテレッという軽快なコーラスを筆頭に、オーディエンスを巻き込むパーティーチューンでもある。そのギャップにも惹きつけられるのだ。

⑤JAM

1996年にリリースされた9thシングルで、言わずと知れた代表曲。それでいて、オリジナルアルバムには未収録という、際立った立ち位置を誇っている。
深く激しく壮大なバラードで、一つひとつの歌詞から強い想いが伝わり、心に染み渡る。特に《外国で飛行機が墜ちました ニュースキャスターは嬉しそうに/「乗客に日本人はいませんでした」/「いませんでした」「いませんでした」》は、音楽シーンも時代も越えて、社会的に取り上げられ続けている屈指の名フレーズ。個人的には《素敵な物が欲しいけど あんまり売ってないから/好きな歌を歌う》というフレーズにも人生を支えられてきた。
2004年7月7日の解散後、同年12月26日に東京ドームで開催された「Petticoat Lane PRESENTS THE EXHIBITION AND VIDEO FESTIVAL OF THE YELLOW MONKEY メカラウロコ・15」のラストに、4人でこの楽曲だけを演奏。さらに再集結後の2016年に初出演した『NHK紅白歌合戦』においても、この楽曲は演奏された。彼らの重い節目においても、さらに今の時代においても、必要な楽曲として“JAM”は鳴り響き続けている。

⑥楽園

1996年リリースの11thシングルであり、1997年リリースの6thアルバム『SICKS』収録曲。『SICKS』は、ファンハウスへの移籍後初のアルバムであると共に、よりダークで(いい意味で)ヤバいロックに舵を切った印象があった。その中でも“楽園”はポップではあるのだが、全体にうごめくグルーヴはだいぶヘヴィ。これがチャートを席捲したと思うと、振り返ってみても痛快だ。
当時の彼らの状況と重ね合わせると、新天地で思いっきり自由にやっていく!という宣言にも受け取れる。さらに、《好きにやればいい》とリスナーの背中も押してくれる。また《いつか僕らも大人になり老けてゆく》ことを実感する年齢になったからこそわかる歌詞も多いので、ぜひ何度でも噛み締めて聴いてみてほしい。

⑦バラ色の日々

1999年にリリースされた19thシングルであり、2000年リリースの8thアルバム『8』収録曲。全113本にも及ぶ、文字通り打たれ続けるような過酷なツアー「PUNCH DRUNKARD TOUR」のあと、バンド史上初めて外部のプロデューサー・朝本浩文と共に制作された。新たな道を見出すべく、サビの歌からはじまり、その後も歌を畳みかけるように展開していく構成にはなっているものの、菊地英昭の哀愁漂うリフや、小気味いいビートなど、4人のアンサンブルは活かされており、朝本のバンドに対する想いや、プロデュースと交わっても揺るがないTHE YELLOW MONKEYらしさを感じ取ることができる。
個人的には、解散した頃はタイトルの印象もあって、第1期THE YELLOW MONKEYのエンドロールのサウンドトラックのように捉えているところもあった。しかし再集結後は、ファンクラブの名前が本曲の歌詞に由来する「BELIEVER.」となったことも関わって《バラ色の日々を君と探している》バンドとファンの歌、さらに《明日は明日の風の中を飛ぼうと決めた》闘い続けるすべての人たちへの賛歌として、聴こえ方が変わったように思う。

⑧パール

2000年7月にリリースされた22thシングルであり、8thアルバム『8』収録曲。『バラ色の日々』『聖なる海とサンシャイン』『SHOCK HEARTS』と、外部プロデューサーを迎えた3作を経て、今作は吉井のセルフプロデュースとなった。この年の11月1日に23thシングル『BRILLIANT WORLD』をリリースすると、その直後の11月15日に、翌年1月4日の大阪ドーム、1月8日の東京ドームでの「メカラ ウロコ・8」終了後にバンド活動を休止することを発表。この経緯を踏まえると涙と汗がキラキラと輝いているような“パール”は、第1期THE YELLOW MONKEYが最後に自ら立ち上がって全力疾走した楽曲に聴こえてくる。
全編サビのようなメロディアスな歌が駆け抜けていく、彼らにとっては異色と思えるほどパンキッシュなナンバー。《夜よ負けんなよ朝に負けんなよ/何も答えが出てないぢゃないか》というフレーズは、終わりに抗いはじまろうとしているようで、歯を食いしばる力をもらえる。

⑨ALRIGHT

申年である2016年1月8日に再集結と、同年5月から「THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016」を行うことを発表。そのツアーに先駆けて、再集結後の初の楽曲として発表されたのが“ALRIGHT”である。ラジオやファンクラブ向けのストリーミング、そして3月のミュージックビデオ公開にライブでの披露と段階を経て広まっていき、第2期THE YELLOW MONKEYを象徴する楽曲として成長した後に、同年10月に再集結後初シングル『砂の塔』のカップリングとして収録された。
ストレートなバンドサウンドは、THE YELLOW MONKEYが帰ってきた!と歓喜できるグルーヴ感に満ちている。《強い絆が絡み合って 生まれ変わる蛹》という歌い出しからも、バンドの再生のストーリーが浮かび上がってくる。《何よりもここでこうしてることが奇跡と思うんだ》という、いつになくシンプルなメッセージや、《準備 ALRIGHT!》というバンドの状況も重ね合わせたライブ映えするフレーズも秀逸。

⑩ホテルニュートリノ

2020年にコロナ禍の逆境を越えて成功させた「THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE」以降、バンドは充電期間に入っていたが、2023年10月11日、吉井が約2年間にわたって喉頭癌を治療していたことを公表。それでも歩みを止めていないことを証明するように、2024年1月1日に本作がリリースされた。
これまで開けていなかったスカという引き出しに挑戦した軽快な曲調から、バンドの未来を見せる意欲的なナンバー。それでいて少し物悲しいメロディは、紛れもなくTHE YELLOW MONKEY節。さらに《人生の7割は予告編で/残りの命 数えた時に本編が始まる》という、吉井の心情が映し出された歌詞にもドキリとさせられる。ドキュメントをアートに昇華してきた彼らの本領が、これでもかと言わんばかりに発揮された力作だ。
2024年4月27日には、東京ドーム公演「SHINE ON」を開催。さらに5月29日には、10thアルバム『Sparkle X』をリリース。今日も4人はギラギラと前へ進み続けている。


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