【10リスト】ゆず、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】ゆず、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
横浜の路上からポップミュージックシーンに登場したゆず。彼らはとてもセンセーショナルな存在だった。かつてフォークやパンクがそうだったように、若者たちが自ら表現スタイルを選び、奏で歌うことで、新しい時代の潮流を生み出したのである。勢いに満ち、それでいてどこか神経質で陰りを感じさせていた2人の若者は、多くの人々に出会いながら、国民的ポップスターとなった。そのキャリアは、人の情緒を深くみつめ、キャッチーな音楽へと変換する、そんな「歌うべきテーマを探す旅」でもあったはずだ。(小池宏和)


①夏色

言わずと知れたメジャー1stシングルで、北川悠仁の作詞・作曲。アップテンポかつ爽やかな曲調が、ゆず登場の鮮烈なインパクトをもたらす原動力となった。夏を謳歌する自然体の心地よさをなびかせる一方、《ブレーキいっぱい握りしめて ゆっくりゆっくり下ってく》というフレーズには、かけがえのない時間を少しでも引き伸ばしてやろうとする思いと、《君》への優しさが溢れている。季節は流れ、音楽はいつか鳴り止んでしまうからこそ、オーディエンスは「もう1回!」と催促せずにはいられないのである。

②境界線

初のフルアルバム『ゆず一家』を締めくくるナンバーで、岩沢厚治が作詞・作曲を手がけた。ここで歌われる「境界線」とは何を指しているのだろう。《そこは誰にも気付かれないこの道の分岐点の向こう》。諍いや確執やしがらみの現実を越えて、新しい世界を夢見ること。つらい現実に疑問を持たない者には、その境界線を見ることすら叶わない。音楽に新しい世界の手がかりを求める、強烈なモチベーションを宿した名曲だ。サイケデリックフォークの音像が、次第に明瞭な視界を獲得してゆくアレンジも素晴らしい。

③サヨナラバス

北川作による、5作目のシングル表題曲。別れのバスが到着し、走り去るまでの過程を、この上なくキャッチーなフォークポップの時間芸術に仕立て上げている。曲調はアッケラカンとしたほど明るいのに、歌詞は途方もなく哀しく切ないという、音楽と言葉のせめぎ合いがユニーク。キャッチーなポップソングということは、刹那の感情がいつまでも生き続け、共感を呼び共有され、語り継がれるということだ。張り裂けんばかりの思いが、執念を帯びて「キャッチー」へと昇華されたナンバー。

④飛べない鳥

突如襲いくる悲劇と困難を抱え込みながらひたむきに生きようとする歌詞は、主題歌として起用されたTVドラマ『涙をふいて』の物語とシンクロしていた。軽やかに舞い上がるような曲調を誇る一方で、メロディの端々にも重い現実と格闘する痕跡が滲む。《きっと見上げた空は青く/ほらごらんよ僕らなんてちっぽけなもんさ》。決して安直な気休めには終始しない、岩沢節のリアリティが炸裂した楽曲だ。

⑤アゲイン2

熱くまくしたてるような歌の掛け合いが前のめりなドライブ感をもたらす、北川作の12作目となるシングル曲。原曲として存在していた“アゲイン”と比較しても、この性急な歌のドライブ感は印象深い。それぞれ衝動的に吐き出される言葉は、《アゲイン 誰もがみんな一人ぼっちを抱きしめながら生きている》というコーラスパートでひとつに寄り添い、シンガロングを誘発する。個人個人の思考や感情が折り重なり、響き合いながら音楽と化すさまは、まさにゆずの真骨頂である。

⑥栄光の架橋

2004年にNHK アテネオリンピック放送テーマソングに起用され、体操・冨田洋之選手が鉄棒をフィニッシュする瞬間、アナウンサーが「栄光への架橋だ!!」と叫んだことも語り草になった。松任谷正隆による美しく荘厳なアレンジを帯びたバラードであり、一瞬の出来事の背景から豊かな情緒とドラマ性を導き出す北川流ストーリーテリングが見事に花開いている。《誰にも見せない泪があった 人知れず流した泪があった》。スポーツだけには止まらず、人生の様々な歓喜の場面に寄り添う名曲だ。

⑦虹

それまで、寺岡呼人との共同プロデュースを中心に多くの作品を生み出してきたゆずだが、2008年から様々なアレンジャー/プロデューサーとの関わりが増え、彼らの音楽は新しい彩りを獲得していた。弦一徹ストリングスのイントロから始まり、蔦谷好位置によって4つ打ちのリズムやカラフルなアレンジが持ち込まれた“虹”は、高らかに突き抜ける《越えて 越えて 越えて》のコーラスを合言葉とするように、人々を優しく鼓舞するアンセム。北川の歌詞とメロディ、大掛かりなアレンジが一丸となって膨大なエネルギーを生み出している。

⑧雨のち晴レルヤ

NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』主題歌。篠笛奏者・佐藤和哉の“さくら色のワルツ”をモチーフに北川が共作し、さらには巧みに変化するメロディラインやドヴォルザークの引用、ビッグバンドによる壮麗なニュートラッド風アレンジまでが持ち込まれるという、さながらゆず流のプログレッシブフォークと呼ぶべき大作。膨大な量のアイデアを注ぎ込みながらも、難解さを一切感じさせないキャッチーなポップソングとして着地成功している点が凄い。知識と経験、ポップなバランス感覚が手を取り合った1曲だ。

⑨うたエール

20周年ベストのリリースやドームツアーを経た直後、ゆずはEP群の連続リリースにライブにと、間断なく攻勢を見せ続ける。“うたエール”はアルバム『BIG YELL』に先駆けた配信シングル曲。北川と蔦谷好位置による共同作曲で、ヒップホップのリズムトラックの上にオーディエンスとの掛け合いが予めデザインされたような賑々しい曲調となっている。「歌でエールを贈る」というプロフェッショナルな役割にあらためて自覚的になったゆずだからこそ、コンテンポラリーかつ風通しの良い楽曲を生み出すことができたのだろう。

⑩公園通り

温かく、穏やかな曲調ではあるけれども、そこには人間らしい感情が濃く立ち込めている。“公園通り”は、またもや北川のストーリーテラーとしての手腕が光るナンバーだ。往年の渋谷公園通り劇場でのライブや、初めてアコースティックギターを買いに出かけたエピソードを回想しながら、失われた人や風景、かつての思いを記憶の中に見つける。何かを失い続けて、それでも前に進まなければならない人の背中をそっと押す、まるで若かりし頃のゆずが新たに歌うべきテーマを連れてきたかのようなナンバーである。
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