やさしいひとたち。のラブソングがもたらしてくれる安心感について

やさしいひとたち。のラブソングがもたらしてくれる安心感について
ラブソングはいつの時代も求められる。同じような感情、同じようなシチュエーションを歌う曲はたくさんあるけれど、それでも新しい曲が生まれ続けるのは、その時代にあった表現や音でないと人の心に寄り添えないからだと思う。

やさしいひとたち。というバンドのラブソングを聴いてどこか安心感を覚えるのは、純正J-POPが令和の時代にアジャストされて戻ってきたような感じがしたからかもしれない。

《新しい約束がしたい/これからもずっと一緒にいよう》(“約束事”)
《一生の運を使い果たしても/君と出逢えて良かったと思う》(“一生の運”)


純粋でまっすぐな想いを伝える言葉。独特の詩的な表現、まだ誰も描いてなかった感情を捉えた、という類のものではないけれど、曲を通して終始《君》にフォーカスが当たっていることが「混じり気のなさ」につながっている。
「こんな自分だけど」という不安を滲ませずに想いを伝えるのは、SNSによって比べられる対象が勝手に増えていく時代においてどんどん難しくなっているから、力強い言葉として届いてくる。

新曲の“何者”は恋愛の意味でのラブソングではないけれど、その自己肯定感を裏づけるような曲だ。
《ほら ここがアイデンティティ/愛し抜けそうだ 僕を愛せそうだ》──こういうことを歌うには、斬新なビートやアレンジだときっと似合わない。歌を邪魔しない王道のJ-POPアレンジが、歌詞のまっすぐさをさらに強調しているのだ。

歌の中くらい、ピュアな想いだけを切り取ってもいい。
やさしいひとたち。の歌は、濾過された水のようにきれいだから、安心感をもたらしてくれるのだろう。(有本早季)



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