【10リスト】マカロニえんぴつ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】マカロニえんぴつ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
確かな演奏技術と音楽の知識に裏付けられたセンスと、退屈でこんがらがった日常に向けられるまなざしで描き出される、極上のポップソング。マカロニえんぴつの音楽が特別なのは、そこに僕たちと同じような人間が生きているからだ。ここでは彼らのバラエティ豊かな楽曲のなかから恋のこと、バンドのこと、そして煮え切らない青春のことを歌った必聴の10曲をピックアップ。どれもずっと彼らの代表曲であり続けるだろう、不変の名曲だ。(小川智宏)


①ワンドリンク別

ロックファンやバンドマンにはおなじみのライブハウスの「ワンドリンク別」のシステム。音楽とは別物だけど切っても切れないアレを、ふたりの微妙な関係に重ねた初期からの代表曲。マカロニえんぴつのライブでは観客全員での「ワンドリンク別!」というシャウトが響き渡る。その光景を見ていると、これはやっぱりバンドとファンの関係を歌った曲なんだと再認識する。というか、チケット代とドリンク代の500円の関係、「恋ではない」ふたりの関係、ひたすら音楽を鳴らしているバンドとそれを受け取るファンとの関係、はっとり(Vo・G)にとっては全部一緒ということなのだろう。そんな本質が透けて見える曲だ。

②ハートロッカー

デビュー当初のマカロニえんぴつの楽曲には音楽やバンドのことを歌った曲がたくさんあるが、これもそのひとつ。性急な2拍子のリズム、叩くように弾かれる鍵盤とギターのコード、そして《形にならない》気持ちを書き殴るように綴った歌詞にはこれが書かれた当時の心境だろう、焦燥感や前のめりな思いが滲むが、《死んだように生きていたい僕の/やっぱりどうしようもないこんな歌が/あなたの逃げ場になるなら歌うよ》という決定的な一節は、マカロニえんぴつというバンドが音楽をやる動機のいちばん根っこにずっとあり続けている。コーラスにソロに転調に、と盛り盛りのアレンジが聴き応えあり。

③洗濯機と君とラヂオ

元ネタといってもいい“部屋とYシャツと私”を知っている人がマカロッカー(ファンの呼称)のなかにどれくらいいるかは知らないが、これは全てを言い当ててしまっていると言ってもいいぐらい最高のタイトルだ。“洗濯機と君とラヂオ”とはつまり日常と恋と音楽、ということである。そして、その3点がつながったトライアングルの真ん中に、マカロニえんぴつはいるということだ。《この恋が この夜が/ずっと前から僕らを/待っていた、待っていたんだ》。というわけで、これは決死のラブソングであると同時にバンドの決意表明でもある。重めのサウンドと散りばめられたサイケデリアを裏打ちビートのサビで軽やかに飛翔させる、パワフルな名曲。

④ミスター・ブルースカイ

はっとりの書くラブソングは決してきれいごとで終わらないところがいい。1stフルアルバム『CHOSYOKU』の1曲目を飾る、3拍子のリズムに乗せて切なく歌い上げられる終わった恋の歌はまさにそれだ。感情の奔流そのもののような分厚いギター、激情の真ん前で淡々と続いていく日常を象徴するようなピアノのスタッカート、《泣いているのは君のせいじゃないから》と強がりながら、《泣いてみたのに/捨て切れないの何でだ》と後ろ髪を引かれまくる心情がリアルな歌詞。バンド一丸となって押し寄せてくるような迫力がある。曲名がエレクトリック・ライト・オーケストラの同名曲から採られているのかどうかは知らない。

⑤レモンパイ

マカロニえんぴつを変えた一曲だと思う。イギリスのポップミュージシャン・ミーカ的なピアノのループとギターのリフを応用しつつ、スキップするような軽やかさで、そんな音の印象とは対照的な煮え切らない想いを滔々と語るというバランスもバンドのポテンシャルを思いっきり体現しているが、特筆すべきははっとりによる歌詞の中身だ。ラップっぽいパートがあったりするのも新鮮だが、《ゴミクズ、くすぶっておりますわ》と自嘲するくらい同じところをぐるぐる回る主人公の想いを、ポンポンと放り投げるように言語化していく感じには、それまで内側を向いていた彼の視点が、一気に外に向いて開けたような印象を受ける。

⑥ブルーベリー・ナイツ

曲名はウォン・カーウァイの映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』から。恋の露頭に迷った女性の主人公の切なくてボロボロの感情を丹念に追っていくはっとりのストーリーテリングが光る(言うまでもなく、ここに描かれる恋の心情は、はっとりのファンに対する想いの裏写しでもあると思う)。そしてその歌を盛り上げるバンドのアンサンブルが素晴らしい。印象的なピアノリフから始まり、抑制しながらもアクセントとして効果的なギター、サビで爆発する感情を表現するコーラスワーク。全てが一体となってスタイリッシュにドラマを生み出している。聴いていると、それこそ一編の映画を見ているような感覚になる。

⑦青春と一瞬

前にもどこかで書いたが、マクドナルドのCMでこの曲が流れるたびに泣きそうになった。今もライブでこの曲が鳴ると泣きそうになる。どうしてかといえば、この曲はあまりにも優しく、そして切ないからだ。かつて《つまらない、埋まらない退屈》ばかりの青春を生き抜いてきた男から、今まさにそんな青春を生きている者に向けたメッセージソング。優しいのははっとりが《若者》に自分を重ねているからで、切ないのはその長い長い青春が振り返れば「一瞬」だったということを、すでに彼は知ってしまっているからだ。メロディを鼓舞するようなサビの美しいコーラスとギターソロも、その優しさと切なさを120%表現している。

⑧ヤングアダルト

マカロニえんぴつの、そしてはっとりのテーマソングといっていいだろう。“ヤングアダルト”は紛う方なきマスターピースである。《ハロー、絶望/こんなはずじゃなかったかい?》と夢を見失った世代と時代に優しく語りかけ、そんな世代と時代に向けて《夜を越えるための唄が死なないように/手首からもう涙が流れないように》と音楽を紡ぐ。ここには彼らが誰に向けて、どんな想いを込めて、どんな覚悟でバンドをやっているのかが刻まれている。そして、なぜはっとりがラブソングを書き続けるのかも。《明日もヒトでいれるために愛を集めてる》というのは、そのまま彼が曲を書く理由でもある。

⑨遠心

ワウにファズにオーバードライブ。カラフルに塗り重ねられたギターワークが曲をドライブさせるという意味では、マカロニえんぴつにはちょっとめずらしいタイプのロックナンバーだと言えなくもないが、この突進力とロック感がこの曲には、そしてこの物語には必要だったのだろう。《間違いだらけの毎日》を一緒に過ごした「君」が遠くなる、その切なさと哀しさを歌った曲だが、《定まり切らない言葉は/君を射抜いてくれるのか/眠れぬ夜の向こう側/話しをしよう、話をしよう》というところだけは明らかにはっとり自身のことだ。その直後に入ってくる8小節のギターソロが、僕にはロックバンドとしてのマカロニえんぴつの意志を示しているように聞こえる。

⑩恋人ごっこ

中期ビートルズ的というかオアシス的というか、とにかく思いっきりブリティッシュなサウンドと、マカロニえんぴつ史上でも指折りの珠玉のメロディ。切なすぎる恋の終わりと、そこにとらわれてこんがらがる主人公。楽曲の構成力、歌詞のストーリーテリング、どれを取ってもこれまで彼らが生み出してきたラブソングの最高峰だと思う。《恋人ごっこでいいから》。もう一度、という願いはどうしようもなく情けないけれど、そのなかで何かに気づき、何かを学び、少しだけ前に進む――という姿勢というか人生の考え方を肯定するというのは、はっとりという人の根本思想でもあると思う。だから、この曲のはっとりの、主人公に向けられた視線はどこまでも優しいのだ。
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