たとえば高級フレンチで、たとえば大衆居酒屋で、たとえばファーストフード店で、メニューだけ見て頼んだものが、想像とは違っていたり、想像を超えていたり、斜め上をいっていたり。
見た目も、味も、匂いも、舌触りも、喉ごしも、想像の範疇を超えないものも、まあそれはそれでもちろんいい。
ただ、やっぱりそれを超えてくるものって、逆にへんてこだったり、歪だったり、規格を超えていて、そこには喜びとかワクワクが詰まっていたりする。
マカロニえんぴつの最新EP『ぼくらの涙なら空に埋めよう』には、総じてその「喜び」と「ワクワク」がこれでもかってほど詰め込まれてる。
はっとりをはじめメンバーが高校生に扮してまぶしい制服姿をMVで披露した"忘レナ唄”はTVアニメ『忘却バッテリー』のエンディングテーマだが、直球ストレートというよりはチェンジアップのようにふわふわと時間をかけて、しかしずっしりと腹の奥まで響いてくる。サウンドはタイト、それでいてしっかり遊びがあって、切実さを無理やり訴えかけてくるようなこともない。
だからこそ味わい深いのだ。
インタビューではっとりは、バンドという縛りがある中で表現することについて「やっぱりどっかへんてこになっちゃう」「気づいたら自分たちのイメージと違うところに最終的にいたりとかして」と苦笑をこぼしながらも、「ああだこうだ言いながらやってるのがすげえ面白い」とまっすぐに語ってくれた。
肩ひじ張らず、取り繕わず、素顔のままで鳴らされる音、唄、言葉。
制作風景までもがパッケージされたような4曲。
なぜ今、マカロニえんぴつはここまで自由に、かつ繊細に、そして伸び伸びとしながらもロックの魂を解放させて活動できているのか。その本質に迫りました。 ぜひ誌面で彼らの思いに触れてください!(橋本創)
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マカロニえんぴつが素顔のままで体現する音楽の喜びと確信──最新EPから溢れ出るバンドの「今」に迫るロングインタビュー!
2024.06.10 17:00