①MAXIMUM OVERDRIVE
《Everybody has it in their mind Everybody has it in their head Everybody has it in their fist/YOU ONLY DON’T KNOW HOW TO USE IT!!!》意訳:誰もが心の中に持っている/誰もが頭の中に持っている/誰もが握ったコブシの中に持っている/皆そいつの使い方を知らないだけなんだ
1995年リリースの1stフルアルバム『GROWING UP』の1曲目を飾る――すなわち(もちろん、1994年にリリースされた1stミニアルバム『LAST OF SUNNY DAY』を含めて、それ以前のリリースも名盤揃いだが)「はじめの一歩」と言える、彼らを加速させ、キッズの心の扉を勢いよく解き放った楽曲。すべてのキッズの秘められた衝動に火を点ける、自分自身の「最大級の!」力を発揮できるようになれる言葉が並んでいる。この楽曲で《そいつ》の使い方に気づけた人は、10代の頃の私だけではないだろう。《足をガンガン踏み鳴らすんだ》といった歌詞には、彼らのライブの光景もみずみずしく封じ込められている。
②GROWING UP
《“Come back here if you fail” “No,I won’t I will just try it again!”》意訳:「失敗したらいつでも戻ってこいよ」/「いや戻らない そしたらもう1回やってみるよ」
こちらもアルバム『GROWING UP』に収録され、ラストを飾っている。個人的には、18歳の時にこの歌詞を心の中に刻んで上京したので、思い入れはすこぶる大きい。切なくも希望に満ちた故郷からの旅立ちを描き、《「これが成長するって事だよ」》と教えてくれる、そして《「どっかに埋まってる夢を掘り当てに行くんだ!!!」》とがむしゃらに沸き上がってくる青いエネルギーを肯定してくれる歌詞。《オレは男》ではなくて私は女だけれど、しかも私の地元では《波の音》は聴こえないけれど、それでもこの歌詞のように生きてきて今これを書いているといっても過言ではない。
③MY HEART FEELS SO FREE
《When the world makes you feel down/Don't give up, don't give in/Clear blue skies gonna come around again/You can feel, you can feel alright》意訳:もし社会がキミを悩ませたとしても/あきらめないように へこたれないように/空はまたいつか晴れるんだから/そんな時キミは思うはずさ/キミは思うはずだよ 大丈夫なんだって
1997年リリースの2ndフルアルバム『ANGRY FIST』収録、そしてライブ盤としてリリースされた2018年の横浜アリーナでは1曲目を飾ったという意味でも、とても説得力と物語を感じる楽曲。曲名にもあるが、全編にわたって《自由》が歌われている。《太陽》や《芝生》といった自然、そして《キミの笑顔》といった「身近なもの」の大切さに目を向かわせてくれる歌詞が並ぶ。《社会》という得体のしれない怪物に悩まされることは、もしかしたら今はリリース当時よりも増えているかもしれない。そんな時は、空を見上げてこの歌詞を口ずさめば、《自由に人生を生きる》ことを思い出せるはずだ。
④THE SOUND OF SECRET MINDS
《Listen, the sound of secret minds/A tiny voice inside your heart/A precious thing you should believe/This is pure and true》意訳:隠した心の声を聞け!!/心の中の小さな声を/お前が信じるべき大切なものは/本当に純粋なものなんだ
『ANGRY FIST』収録、激しいエモーションだけではない、繊細な切なさを表現できる彼らのスキルが明白に表れた、ファンの間でも人気の高い楽曲。社会の中で揉みくちゃになった時、悩みに押しつぶされそうになった時、《お前のハートは鳴ってる、生きてる》と力強く歌ってくれる。大人になるにつれて忘れかけていた《子供の頃によく聞いた音》。これを聴けば、いつだって蘇る。ブロックで作られたジャケ写もあるけれど、キッズ心だけではなく子ども心も大切にし続けているバンドだと思う。
⑤TEENAGERS ARE ALL ASSHOLES
《are you really running on your own rail/find it yourself/open your eyes》意訳:本当にきみは自分のレールを走っているの?/自分で探すんだ 目を開けてみな
1999年にリリースされた『MAKING THE ROAD』収録。《さあみんな 人をナイフで刺すなんてやめましょう》、《人を傷つけるのにいい理由なんてどこにもねーよ/そんなに何か刺したいんなら自分の心に刺してみな》と、わかりやすい言葉で社会に響く強いメッセージを発している。他に《いじめ》や《不況》といった言葉もちりばめられているが、全ては上に抜き出した《自分で探すんだ 目を開けてみな》というところに繋がってくるのだと思う。彼らが(現代の)パンクロックバンドであることを、特に確信できる歌詞だ。
⑥DEAR MY FRIENDS
《go my way nobody gonna bring me down/if I get lost in the dark/can you tell me what went wrong/if I fall down in the dirt/can you lend a hand》意訳:やりたいようにやるよ/誰も邪魔なんかしないはずさ/でももし俺が闇に迷ったら/何処が悪いのか教えてくれるよね?/もし俺が泥にまみれたら/君は手を差し伸べてくれるよね?
こちらも『MAKING THE ROAD』収録。“TEENAGERS ARE ALL ASSHOLES”とは別の意味合いで、パンクロックバンドらしさが表れている楽曲だと思う。90年代に愛聴したハイスタと同世代のパンクロックバンドから、私はユニティ=団結の姿勢を教えてもらった。「AIR JAM」などからも感じられるが、それぞれ独立した活動を行いながら、いざという時には繋がり合える関係性。この楽曲の歌詞は、さらに孤独も自由も葛藤も包括することで、より友情というものの尊さを綺麗ごとではない形で封じ込めていると思う。《空は青く/太陽は眩しい/それは誰にだって同じ事》という、当たり前のようでいてハッとさせられる一節が織り交ぜられているところもいい。
⑦STAY GOLD
《I won't forget/when you said to me "stay gold"/I won't forget/always in my heart "stay gold"》意訳:オレは忘れない/お前が「いつまでも金ピカのままで」って言ったこと/忘れられないんだ/いつも心の中に「ステイゴールド」
『MAKING THE ROAD』収録であり、リリース当時から文字通り光っていたが、彼らの物語が重なり合い、さらにキッズの物語が重なり合うことで、さらに輝きを増している稀代の名曲。そして、もしかしたら多くの人が感じているかもしれないが、自分自身、ひいては社会全体が困難にぶつかった時に聴くと、本当に涙腺が崩壊し、全身から力が漲ってくる。先述した横浜アリーナのライブ盤に収められている、演奏を始める前の「光がねえなら自分が輝け」という言葉、そして《I won't forget》を《You won't forget》と変えて歌ったこと、それが全てだ。
⑧ANOTHER STARTING LINE
《Leaving yesterday behind/I’ve got something cool to do/Time is always right to do what is all right》意訳:昨日までのことはおいておこう/もっとやるべきことがあるから/正しい事をするのに時を選ぶ必要はないんだ
2011年に復活を果たし、2016年に突如としてリリースされた16年ぶりのシングルの表題曲。復活を果たしてからの彼らの楽曲の歌詞は、本当に全て素晴らしい。彼ら自身の物語を重ね合わせてしまうからかもしれないが、とても説得力があって、自分自身がこれから生きていく上での指針になるような言葉が並んでいるからだ。《これはラブソングじゃない/僕たちの時代のストーリーの歌》という感動的な一節も含めて、彼らの音楽性も道のりもメッセージも、正直すぎるほど正直に聴こえてくる。
⑨All Generations
《I don’t care where you’re heading for/I don’t care who you were/We are the same three guys on the stage/Boys are here/Of all generations》意訳:オマエがどこに行こうとも/オマエが過去にどんな人間であろうと/オレには全く関係ない/ステージにいるのは同じあの3人組/ここにいるのは/全ての世代を超えたガキども
2017年にリリースされた4thフルアルバム『THE GIFT』収録。時代が流れて、あらゆる情報に右往左往し、実体のない壁に戸惑う私たちを、ただの《ガキども》にしてくれる《あの3人組》の威力に溢れた楽曲だ。《オレはステージの上では夢は見ないのさ》という言葉をハイスタが発する重みや、《さあケツを蹴り上げてやる/そしたらユナイトできるはずだろ》というハイスタの可能性を感じることができる歌詞が、次々と胸に飛び込んでくる。
⑩We’re All Grown Up
《Time flies,/now we’re all grown up/Think of the good old times/It’s OK,/had a lot of laughs and fun/Life goes on,/how can I regret?/I know what is going on/You and me,/how can I forget?》意訳:時が経って/オレたちは大人になってしまった/良かったあの頃を思い出す/いいんだよ/たくさん笑ったし楽しんだから/人生は続く/悔いることなんてないよ/オレには何が起こってるのかわかるから/キミとオレ/忘れるわけがないじゃないか
こちらも『THE GIFT』収録。“GROWING UP”を歌っていた彼らが《オレたちは大人になってしまった/オレたちみんな成長したんだ》と歌う――自分自身に重ね合わせると、どこか寂しいような、誇らしいような感慨が去来する。でも、曲調はカラリとしているし、《人生は続く》とも歌っている。力んで前ばかりを見るのではなく、振り返って哀愁滲ませるでもなく、自分自身を受け入れ、ただただ今を生きていく。そんな《大人》のハイスタだからこそ響かせることができるメッセージ。やっぱり、励まされずにはいられない。