【10リスト】私たちの心を揺らしたUVERworldの名歌詞10

【10リスト】私たちの心を揺らしたUVERworldの名歌詞10
UVERworldTAKUYA∞(Vo・PROGRAMMING)は、熱いトーンのライブMCでも知られるが、それは楽曲の歌詞に込めた思いに基づく内容であることが多い。反骨心に裏付けられた自由、人それぞれの価値観の尊重、大切なものを見つけ守るための飽くなき努力。絶えず挑発的でありながら、その言葉は巨大な一体感を育むことになる。優しいラブソングでも、突き刺さりまくるロックソングでも、それは変わらない。彼の生き様そのものが鮮やかに綴られた歌詞の数々に、あらためて注目してほしい。(小池宏和)


①君の好きなうた

《好きだよと 今日も言えないまま/見送った 今まで一緒にいたのに/すぐに会いたくて 君の好きなうたを繰り返し/口ずさんだ 帰り道》


デビュー翌年にリリースされた6作目のシングル表題曲。アルペジオのギターリフレインや壮麗なストリングスアレンジで情感を膨らませる美曲だが、序盤のコーラス部分から、もどかしく甘酸っぱい恋の距離感が歌い込まれている。一人一人の個性を尊重するからこそ立ち上る距離感は、TAKUYA∞の根幹を成す思想として後の作品にも形を変えて表れているけれど、人が抱えたそれぞれの距離感をダイナミックに埋めてゆくツールとして音楽を捉える、ロマンチックな歌だ。


②心が指す場所と口癖 そして君がついて来る

《ありきたりな言葉 二人ならそれも素敵さ/じゃいっそ ねぇずっと 口癖の言葉になるように》

3作目のアルバム『PROGLUTION』の終盤に配置されたロッカバラード。傍から見れば甘く幸福なようにしか見えない恋の情景の中にも、お互いに思いを疑い、確認し、日々をアップデートせずにはいられない、そんな人の業が横たわっている。厄介な心の機微を丹念に汲み取り、物語へと仕立て上げている点が素晴らしい。幸福は無味無臭の無機物ではない。それ自体が生き物のように絶えず移ろい、脈動しているものなのだということが、曲調からも感じられる。


③ハルジオン

《今日は一人で歩く そうやって好きに生きてきた/仲間の内の何人か 空に居るから 俺は上を向いて歩く/新しい命 旅立つ命 止まること出来ぬ毎日で必要な別れも》

シングル『儚くも永久のカナシ』のカップリング曲で、アルバム『AwakEVE』では別バージョンとして収録。ここで抜き出した歌詞は穏やかに始まるオープニング部分だが、その後ハードなサウンドも織り込み豪快に変化してゆくさまが特徴的。一人きりで物思いにふけるようでありながら、誰かを思っている。目の前で輪郭を持っている人よりも、記憶の中に生き続ける誰かが強い存在感を放つこともある。今、一人きりで過ごしている時間は本当に「孤独」だろうか。そんなふうに考えさせてくれる、大切なメッセージを運ぶ曲だ。


④哀しみはきっと

《サヨナラは言わないことにしよう これが終わりだとしても/自分でさえ 希望とか心とかって奪えない》


通算14作目のシングル表題曲で、TVドラマ『小公女セイラ』主題歌として書き下ろされた。重厚なギターサウンドの中を掻い潜ってしなやかに響く、言葉とメロディの相乗効果が発揮されている。終わりは新たな始まり、というフレーズは世間でよく用いられるけれども、いざ深い哀しみに襲われたとき、即座にそんなふうに考えることは難しい。だからTAKUYA∞は、紡いだ言葉やファルセットで舞い上がる歌を駆使して、どうにかその反骨精神を伝えようとするのだ。


⑤MONDO PIECE

《正しいことが幸せと限らないでしょ/たくさんの間違いをして おろかでも純粋に/誤解されたって 理解のひもを解いて行こう》


オーディエンスが一斉に肩を組んで身を揺らすライブ時の胸熱な光景も、この曲の素晴らしさがあればこそだろう。アルバム『LIFE 6 SENSE』の前に18作目のシングルとしてリリース。もともとは初の東京ドーム公演のエンドロール曲として制作された。すでにデビューから5年以上を経ていたUVERworldが、その経験を踏まえながらも、厄介で美しい悪ガキのマインドを守り抜いていることがありありと伝わってくる。ただの馴れ合いではない、真の絆を描き切った名曲だ。


⑥7日目の決意

《君は冬の夢を見て鳴く蝉/もしその願いが明日叶うと知ったら 7日目を生きたのかい?》


ひたすらに詩を書き続けていた若い日々と決死の覚悟、祖父に聞かされた話など、TAKUYA∞の半生と死生観が渾身の力で刻み付けられた通算26作目のシングル曲。それゆえに、極めてリリカルでありながら肉体性を兼ね備えた、圧巻のストーリーテリングとして結実している。命の重さはすべて等しいが、生きることの価値はあらかじめ決められたものではない。このMVはTAKUYA∞のアカペラから始まるバージョンで音源とは異なるが、リリックビデオとなっているので観て欲しい。


⑦誰が言った

《で/あれは誰が言ったんだ?/『芸術や音楽が無力だ』って/一時はよく聞いたよな?/『直ちに影響は無い』って/そしてあれを言ったのは誰だ?/『一人減らしてデビューさせろ』/言葉に出来ない悔しみも/音楽で表現してみよ ほら》


この記事ではついついスロウ〜ミドルテンポの楽曲に浮かびあがる歌詞に注目してしまいがちな選曲となったが、アルバム『Ø CHOIR』収録のこの曲は全編が「必殺の一行」の連続で構成され、切れ味鋭いメッセージだけが濁流のように押し寄せる。それまでにも「6人」での活動を示唆する作品はあったが、晴れて誠果(SAX・MANIPULATOR)を正式メンバーとして迎え入れた後にこの曲を発表してみせたことに、痺れるような感慨を味わった。最もエッジーな言葉と音の力を見せつけるナンバーだ。


⑧PRAYING RUN

《僕は止まるのが本当は怖くて/何もかもが一緒に止まってしまいそうで/まだ終わらないでくれって祈るように走って/いつか起きる奇跡を信じて》


ターンテーブルのスクラッチ音のように聴こえてくる速い呼吸音すら、言葉をもたないメッセージに思えてくる。自分の呼吸しか聴こえないぐらい、戦う者は本質的に孤独だ。「ダイエットのためじゃねえぞ、健康のためじゃねえぞオイ!」とTAKUYA∞は日々のランについて語る。シングル『I LOVE THE WORLD』のカップリング曲であり、リリース前からライブのハイライトを担ってきた楽曲。優れた表現には天啓のような閃きも必要かもしれないが、これは地道な努力によってしか生まれなかった名曲だ。


⑨ALL ALONE

《哀しくても 歌ってるだけで/あいつは 踊ってる時だけ/彼女は 絵を描いている時だけ/あの子は 文字を綴っている時だけ/あいつらは 何かを演じてる時だけ/あの人は 誰かを笑わせてる時だけ/彼らは 物を作っている時だけ/お前は お前がやりたい事を やれ》


『WE ARE GO/ALL ALONE』としてシングルリリースされた楽曲。アートだけには留まらず、人は自分自身の居心地の良い場所をひとつでも見つけ、少しでも広げようとして生きる。世間の風や甘い誘惑に流されて辿り着いた場所は、もしかすると自分で選ぶことのできない生まれの運命よりも、不幸かもしれない。《お前は お前がやりたい事を やれ》というメッセージは、生きるほどに意味を増すだろう。ショートフィルムのシリーズとなったMVも、さまざまな技能をもつ人々が力を結集させなければ生まれ得ない作品だ。


⑩シリウス

《何度だってやり直せばいい それだけだから/苦しいとか思わなかったけど/君を心配そうな顔させている/そんな日々が許せなかった》

冬の大三角形の一角を成すおおいぬ座シリウスから名付けられた、アルバム『TYCOON』収録曲。ライブMCでも、UVERworldは12月にトラブルに見舞われることが多い、と笑い混じりにTAKUYA∞は語っていたが、《あの日誰もが思ってた/あいつの人生はもう終わったと》とこの曲の中で回想している。リスクを背負って自由に生きる振る舞いが、ときに大切な人を心配させることもあるということ。ただアグレッシブなだけではない、より大きくタフに成長した包容力を、今のUVERworldの楽曲は感じさせている。

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