【10リスト】My Hair is Bad、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】My Hair is Bad、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
刹那的なのに永遠を感じさせ、個人的なことを歌いまくっているのに――いや、だからこそ圧倒的な客観性と普遍性をもっている、それがMy Hair is Badの音楽だ。過去の失恋の切なさも未練たらたらの痛さも、今を生きる衝動も未来への希望も、すべてを音と言葉に注ぎ込みライブハウスで爆音に変える。そんなロックバンドの本懐を、彼らは全力で表現し続けている。すべてがリアル。だからこそ名曲の数々は、何年経とうが、どれだけ大人になろうが、あらゆる人の体験とリンクして胸の奥にくすぶっているものを呼び起こす。自分自身の記憶と向き合いながら聴いてほしい。(小川智宏)


①フロムナウオン

My Hair is Badといえばライブ、そしてライブといえば“フロムナウオン”である。今や音源は入手困難、2009年に販売された2曲入り1stデモにのみ収録されている楽曲だ(ちなみにこのデモのもう1曲は“月に群雲”)。でも、この曲は音源で聴いてもあまり意味がない。掻き鳴らすコードに合わせて叫ばれる言葉、いや、もはや言葉に合わせてコードを鳴らしているのかもしれないが、とにかくライブでアドリブで溢れ出る椎木知仁(G・Vo)の叫びが、この曲を常に更新し続けるからだ。一方で決して変わらないのが《今からどうやってきゃいいの?/明日にはどうなってりゃいいの?》というサビの歌詞。椎木がこの曲を作った高校生の時から変わらないこの気持ちが、どこまで売れようが支持されようがマイヘアを走らせ続けている。

②夏が過ぎてく

THE NINTH APOLLOからの初めてのリリースとなったミニアルバム『昨日になりたくて』収録のこの曲には、今に至るマイヘアの原風景があるような気がしてならない。燃え上がる夏が一瞬で過ぎ去ったあとに残る後悔や未練や情けなさや失望。《夏が過ぎてく》と何度もリフレインするこの曲に込められた思いは、季節も年齢も関係なく、椎木が曲を書き続ける理由のひとつであることは間違いないだろう。ギターと歌だけで始まり、ベースが入り、ドラムが入り……だんだんと「バンド」になっていくイントロのアレンジも、マイヘアというバンドの在り方を象徴しているよう。ライブの本編やアンコールのラストで演奏されることも多い、いつだってマイヘアが帰るべき場所がこれだ。

③元彼氏として

たぶんいろいろあって別れたんだろうに、元カノの今カレを勝手にディスり、挙句の果てに《想ってるよ見てるよ ずっと見てるよ》、《嫌よ嫌よも好きなんじゃない》などと抜かす、ろくでもない野郎の歌である。そのろくでもなさをアッパーな裏打ちダンスビートとポップなメロディで歌うというのが最高で、それを歌詞に書いて歌にしてしまうのが椎木という男である。未練をたらたら垂れ流し、都合のいい解釈で自己を正当化し、同じような失敗を何度も何度も繰り返すのは、たぶんそこにいちばん大事なものが眠っているからだ。食べ物は腐りかけがうまいというが、恋愛も似たようなものなのかもしれない。この曲と対になるような、《darling darling/近寄らないで/もう貴方のじゃないから》という“元彼女として”も合わせてどうぞ。

④ドラマみたいだ

どっしりとしたリズムとエモーショナルで重厚なギターリフが気を抜けば倒れてしまいそうなくらい切ない心情を支えてひた走る。ドラマみたいだ、と一瞬思ったあの日、それは本能的に「結末」を予感する瞬間でもあった。終わってしまったドラマを観返すかのように、過去の景色がフラッシュバックする。そして思う《誰かに愛されて/誰かを愛している/何かに気付けなくて/何かを傷つけてる》、《未来を怖がって/昨日を抱きしめてる》という「反省」は真っ正直な椎木の自画像だ。だからこそ《言葉で言わなくちゃってことはね/言えなかった今日も》。過去を刻みつけ、今を形作ってきたあの時の思いをなくさないように歌にする。この曲はMy Hair is Badが音を鳴らし続ける理由だ。

⑤真赤

《ブラジャーのホックを外す時だけ/心の中までわかった気がした》。2015年、いや、2010年代屈指の名文句である。きゃー、《ブラジャーのホック》とか言ってる!とかそういうことではもちろんなくて、重要なのは《心の中までわかった気がした》という部分のほうである。ブラジャーのホックを外す、まさにふたりの関係が一線を踏み越えるその瞬間ですら「君の気持ち、わかるよ」でも「愛してるよ」でもなく「わかった『気』がした」としか言わない、言えない、その感じ。切ないアルペジオに乗せて歌われるこの本音すぎる言葉が、その後疾走するバンドサウンドと主人公が感じる終わりの気配を一層切なくさせる。答えはとっくに見えていたのだ。

⑥戦争を知らない大人たち

メジャーデビューシングルとしてリリースされたこの曲を聴いた時の衝撃は今も覚えている。春夏秋冬をたどる叙事詩のように風景を積み重ねていく歌詞、そして《Good night》だけのサビ、アッパーチューンでもバラードでもない、重厚なアレンジと長い間奏。弾き語りの切なさも3ピースの頼もしさも、韻を踏む歌詞のおもしろさもそこに込められた心情の物悲しさも、椎木自身の人生もバンドのキャリアも。文字通り全部注ぎ込んで生まれた異形の1曲である。改めてじっくり歌詞を見直すと、これはまるで「遺書」のようだなと思う。椎木にそのつもりがあったかどうかは別にして、結果的にこの曲以前と以後で、マイヘアの音楽が変わったのは事実だ。すべてを書き付けて遺すような、大転換点となった楽曲。

⑦告白

2016年10月にリリースされた2ndフルアルバム『woman's』のオープニングを飾る、とことんストレートな1曲。動と静のダイナミズム、詰め込まれた言葉たち、ヒリヒリとドラマティックに駆け抜けて果てる3ピースのアンサンブル。《未来に期待したい なんて撤回だ/今だけでいいんだ》、《現在は最終回 延滞した十代じゃいられない》という歌詞には過去に後ろ髪引かれまくりのマイヘアとは根本的に違う強さを感じるし、《ぜったい 終わりは来るんだ/いつか死んでしまうんだ》という最後のフレーズには、自分に言い聞かせると同時に外向きにメッセージを放っているという感覚もある。なぜこの曲が“告白”と題されたのか、いつか椎木本人に聞いてみたい気持ちもあるが、確かにこの曲には、それまで以上にすべてがさらけ出されている。

⑧いつか結婚しても

マイヘア流のウェディングソングというかプロポーズソングではあるのだが、さすがだなと思うのは《大好きで大切で大事な君には/愛してるなんて言わないぜ》というサビである。恋愛の向こう側にある《なんだかんだ言って僕らは他人で/ああだこうだ言って好きにしたらいいよね》というふたりの関係は、「愛してる」なんて言葉を超えている……いや、超えていたいんだ、と椎木は歌う。これほど真っ当で嘘のない愛のフレーズがあるだろうか。《毎日がなんだか退屈に思えても/毎朝、僕の横にいて》と願う主人公の思いが描き出すのは、言葉や制度や演出で縛るまでもない、当たり前にそこにある1対1の愛の姿だ。それはもしかしたらこれがわがままロマンチスト・椎木の理想なのかもしれない。実際に結婚式で流れることもあるようだが、これを使うのはだいぶかっこいいぜ。

⑨君が海

久しぶりに椎木が自身の過去を題材に歌ったこの曲。歌詞を読めばわかるが、“夏が過ぎてく”のアンサーというか、もうひとつの“夏が過ぎてく”のような楽曲である。夏は「過ぎ去って」いくものであり、失われていくものであり、そのあとに後悔や未練を残すものである――というイメージは変わらないが、この曲が“夏が過ぎてく”と決定的に違うのは過去を過去として描ききっているところだ。溢れ出てくる思い出をまるでアルバムに整理するように、徹底的に過去形で綴られる言葉。文字通り《子供たちは皆大人になった》のである。転機作となったアルバム『boys』の、そして次なるフェーズに進んだマイヘアのスタートを刻んだ楽曲だ。

⑩白春夢

『boys』から約1年半ぶりにリリースされた新作音源。CDだけの『life』と配信だけの『love』のうち、『life』の1曲目に収録されているのがこの“白春夢”だ。ループ感のあるグルーヴィーなアレンジが洗練と大人っぽさを感じさせるなか、淡々と歌われていく日常の風景。《ステイホーム》とか《都庁が真っ赤に染まっていた》(「東京アラート」のことね)とか2020年のリアルタイムを感じさせる一方で、《今日からもう/ないものを探すよりそばにあるものを大切にしたい》というフレーズにはそんな時世を超えてマイヘアが、椎木が、長い時間をかけてたどり着いた決意のようなものが滲んでいる。これは2020年の“戦争を知らない大人たち”であり、過去でも未来でもなく「今」に徹底的に向き合うことを決めた彼らのテーマソングでもある。

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