※2025/4/11 更新
①FLY AGAIN
メジャーデビュー前夜と言える2011年4月に限定枚数で発売したシングル『NEVER FXXKIN’ MIND THE RULES』に収録され、リリースから現在までライブでの最高のキラーチューンとして君臨。サビで観客が両手を上げ、右に左にと伸びる振りは、ライブハウスからスタジアム、また、イベントやフェスでも会場を一体化させるパワーを持った曲だ。DJ、ラップ、アンセム感のあるメロディと重厚なロックサウンドという、MWAMというバンドの旨味が詰まっており、メジャーでの1stフルアルバム『MAN WITH A MISSION』に収録されたほか、2019年の10thシングル『Remember Me』では、“FLY AGAIN 2019”としてアップデートされた。(吉羽さおり)
②Emotions
荘厳なストリングスと分厚いコーラスでドラマティックにスタートするこの曲は、MWAMからの生きるメッセージが存分に詰まっている。英語がベースとなった歌詞の中、《手を広げ高く 空へ飛ぶだけ/目を閉じ心の 声を叫ぶ》という日本語でのフレーズが鮮烈だ。人生には葛藤や暗闇の時もあるけれど、心の奥底に閉じ込めた気持ちを信じて、自分の人生を切り開いていくことが歌われ、強く聴き手の背中を押す曲である。また一方では、多くの人が、狼という言わば異形の存在である彼らや、彼らが奏でるロックミュージックをピュアに受け止めてくれたからこそ、より重みを持って伝えられるMWAMの実感も、ここから聞こえてくる。リスナーとバンドの信頼を感じる1曲だ。(吉羽さおり)
③database feat.TAKUMA(10-FEET)
2013年5月6日に初の日本武道館公演を行ない新たなフェーズへと突入したMWAM。ソニー・ミュージックへと移籍しての第1弾としてリリースしたこの曲は、10-FEETのTAKUMA(Vo・G)をゲストに招いた。トーキョー・タナカ(Vo)、ジャン・ケン・ジョニー(G・Vo・Raps)、そしてTAKUMAという、キャラの渋滞を起こしそうな3人のボーカルが互いに食ってかかる勢いでリレーし、シンガロングするド派手なミクスチャーロック。音楽的に共振する部分も多いであろう両者の、ガチンコなぶつかり合いが聞こえる。(吉羽さおり)
④Raise your flag
2015年10月にリリースされた5枚目のシングルで、アニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のオープニングテーマとなった。ストリングス、エレクトロ、バンドサウンドが融合した、スタジアムクラスのライブも似合う壮大なスケール感は聴き応えたっぷり。それでいて、どっしりとしながらも疾走感がある、メロディック・ハードコアを踏襲したような泥臭さも兼ね備えている。さらに、この楽曲が人気を誇っている最大の理由は、シンガロングがなければ成り立たないところだろう。サビの歌詞はまさに《声の限り叫んで》だ。バンド単体としてだけではなく、様々な音、そしてオーディエンスも含めた人を巻き込んで成長していったMWAMらしいキラーチューン。(高橋美穂)
⑤Hey Now
DJサンタモニカ(Djs・Sampling)のトラックメイクを主体にした曲で、90年代から2000年あたりのロック×ダンスミュージック、ビッグビート的なダイナミズムをMWAMとして体現した1曲。プロデューサーにはまさにその時代から音楽の壁も世界もまたいで活動しているBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之を迎えるこれ以上ないタッグで制作され、フィジカルなビートと中毒性の高いサビで躍らせる曲に仕上がった。ここまでにも多くのコラボをしてきたMWAMだが、“Hey Now”や“Dead End in TOKYO”でのコラボレーションでは、新たな化学反応でバンドの枠を広げている。(吉羽さおり)
⑥Dead End in TOKYO
アメリカのバンド、フォール・アウト・ボーイのフロントマン、パトリック・スタンプとともに作り上げた1曲。パトリックとの制作は、心理カウンセリングのように、どんなふうに育ち、どんな考えを持っていて、どんな目線で世界を見ているのか、深く自身を掘り下げていくアプローチで、歌、リリックとは何かを再確認するようなものだったという。また、ロックバンドでありつつ、ファンキーなグルーヴを持った歌が魅力なパトリックと書き上げたメロディ、サウンドには、16ビートのノリが気持ち良く出ていて新鮮な曲でもある。(吉羽さおり)
⑦Remember Me
フジテレビ系月9ドラマ『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』の主題歌となって、ロックファンを超え多くの人の耳に触れることとなり、ドラマに合わせ配信がスタートすると、2019年5月20日付オリコンデジタルシングル(単曲)ランキングで初登場1位を獲得した。自分たちのやり方で、実直に進んできたからこそ歌える包容力のある歌、道を照らすランタンとなる1曲。ブレることなく、一貫してポジティブな姿勢でい続けるMWAMのリアルが刻まれている。(吉羽さおり)
⑧Merry-Go-Round
アニメ『僕のヒーローアカデミア』第5期第2クールのオープニングテーマとなった、2021年9月リリースのシングル。勇ましいハンドクラップとシンガロングという「音楽の根源」のようなスタイルではじまるオープニングから、エネルギーがドクドク注入される。バンドのアンサンブルもそぎ落とされており、歌を筆頭に一つひとつの音色が際立っている。そこからサビへ向かうと、バッと花が咲き誇るように流麗なストリングスが響き渡る。シンプル/ゴージャスの対比のようで、MWAMの楽曲はどちらにおいても「人の力」で成り立っているということが伝わってくる、らしさ溢れるナンバー。弱さと憧れ、そして決意が入り混じった歌詞も、その印象に拍車をかける。(高橋美穂)
⑨絆ノ奇跡
2023年5月にリリースされたmiletとのコラボレーション曲であり、アニメ『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』のオープニング主題歌。老若男女に今一度MWAMの名と音を広めるきっかけとなり、2023年末には『NHK紅白歌合戦』に初出場。miletと共に演奏を披露した。アニメのイメージと重なるような三味線が響く厳かなイントロから始まるが、決して和風に寄せてばかりの曲調ではない。むしろ、アニメのもっと奥にある、すべての生きとし生けるものへのテーマを、多彩な対比を取り入れながらダイナミックに轟かせている。激しさと静けさが交互に訪れ、トーキョー・タナカとmiletの歌声が混じり合い、《絆が紡いで生まれた奇跡》を表現。異色のコラボレーションで、コロナ禍を越えていく時期に《夜明け》を届けた。(高橋美穂)
⑩REACHING FOR THE SKY
バンド結成15周年を記念して2025年3月にリリースされた『XV e.p.』の先行配信曲。ギターから演奏が始まる、これぞバンド!なアンサンブルで揺るがない原点を見せつけながら、歩みの中の《傷》や《迷い》を正直に吐露。それでも《Reaching for the sky》──空へと向かっていく今を歌い上げる。曲調も歌詞も、15周年だからこそ生み出せたものだと思う。さらなる聴きどころは終盤。《Woah Woah Woah》の感動的なシンガロングを経たあと、一転してヘヴィな曲調へと変化し《俺たちは屈しない/従属しないし飼い慣らされない》(和訳)という狼たちの宣言で締め括られるのだ。孤軍奮闘──まさに一匹狼から数多くの仲間を得て、ますます闘い続けるMWAMの未来が見えてくる。(高橋美穂)
『ROCKIN'ON JAPAN』2025年5月号の別冊付録にMAN WITH A MISSIONが登場!
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