【10リスト】ポルノグラフィティ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】ポルノグラフィティ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
1999年に“アポロ”で鮮烈なメジャーデビューを果たしたポルノグラフィティ。これまで彼らの楽曲は数多くのCMやドラマ、映画、アニメのタイアップに起用されてきた。一聴して誰が歌っているかがわかるキャッチーな歌、そして、バラエティ豊かなサウンドアプローチを武器に、ポルノはミュージックシーンの最先端を走り続けている。ここでは、そんなポルノの楽曲から10曲を選び、その魅力を掘り下げる。正直、10曲だけには収まり切らないのだが、これまでの活動のなかで、とりわけターニングポイントとなる楽曲を選んでみた。できるだけ楽曲がリリースされた当時のバンドの背景を書いているので、それぞれの時期ごとに独自の音楽を追求してきた彼らのこだわりや、バンドのヒストリーが伝わればと思う。(秦理絵)


①アポロ

《僕らの生まれてくるずっとずっと前にはもう》というキャッチーなサビが、ボーカル・岡野昭仁独特の跳ねる歌いまわしと相まって、聴き手に痛烈なインパクトを残すメジャーデビュー曲。1969年に初めて月への着陸を成功させた「アポロ11号」をモチーフに、テクノロジーが進化した現代社会への皮肉を交えながら、《この街がまだジャングルだった頃》から、遥か遠い未来まで、どんな時代でも変わらない人類の《愛のかたち》へと想いを馳せる歌詞がロマンチックだ。疾走感あふれるエイトビートにのせて、スペイシーな音色を取り入れた遊び心溢れるアレンジも聴きどころ。なお、インディーズ時代はメンバー自身が作曲を行なっていたポルノは、メジャー進出と同時に、作曲・プロデューサーに本間昭光(ak.homma)を起用。以降、プロデューサー:本間×作詞:ギター・新藤晴一(ハルイチ)という黄金タッグでヒット曲を連発していく。

②ミュージック・アワー

数々の名曲を生んだ「ポカリスエット」CMソングに抜擢された3rdシングル。青空が似合う爽快なサマーチューンだが、「ラジオのDJ目線で恋するリスナーを応援する」という捻りの効いた設定が面白い。ラジオ番組風のオープニングコールを入れたり、単音でループするギターがジングルのようにも聴こえたりと、「ラジオ」というモチーフを徹底的に遊び尽くす。《R.N“恋するウサギ”ちゃん》という、一見、歌詞にはあまり使わないキラーフレーズをさらりと入れ込むのも晴一の得意技。迷えるリスナーに向けて、真っ直ぐに恋のアドバイスを綴るというアプローチは、DJ目線を借りたからこそ照れずに書けた内容だろう。ライブでは、サビで腕を縦横に振る「変な踊り」が定番。

③サウダージ

バンドのパブリックイメージのひとつに「ラテン」を印象づけた4thシングル。グラマラスなアップライトベースに重なるパーカッシブなリズム、ドラマチックなバイオリンの旋律がヨーロピアンな世界観へといざなう。「サウダージ」とはポルトガル語で、郷愁・哀愁などの意味。女性目線で恋人への想いを断ち切る楽曲だが、悲しみを溶かした涙を《飲みほしてしまいたい》、《海の底で物言わぬ貝になりたい》と綴る歌詞からは、決して《あなた》に縋るのではなく、悲壮感と静かに向き合い、ひとつの恋にけじめをつけようとする凛とした女性の姿が目に浮かぶ。いわゆる「ロックバンド」の枠に捉われず、あらゆる音楽的なアプローチを貪欲に取り入れるバンドのスタンス、同時に、昭仁のボーカル、あるいは晴一の文学的な歌詞とラテンの相性の良さを見抜いたプロデューサー本間の手腕が生んだ名曲だ。

④アゲハ蝶

6thシングル。“サウダージ”に続き、フォルクローレというラテンの要素を取り入れた代表曲。哀愁漂う美しい旋律を主軸に聴かせた“サウダージ”とは一転して、パーカッションと民族的な管楽器の調べを駆使し、リズムのアプローチを強く打ち出した。それが、言葉数が多いメロディを歯切れよく歌いこなす昭仁のボーカルスタイルにハマっている。物語を紡ぐように描かれた歌詞には、《旅人》と《アゲハ蝶》が登場する。この頃のポルノの楽曲は、行間に聴き手の解釈を委ねる部分も多く、それぞれが具体的に何を意味するかは明確には書かれていない。一聴して、ラブソングのようにも聴こえるが、ひとつ深読みを許してもらうとすれば、この曲は、言葉を紡ぐ者、あるいはバンドとしての葛藤も描いているのではないかと思う。《できたら愛してください》というフレーズに、表現者の孤独が見え隠れする。

⑤愛が呼ぶほうへ

TBS系ドラマ『末っ子長男姉三人』の主題歌として書き下ろされた13thシングル。ストリングスやピアノが温かなメロディを優しく盛り上げるミディアムバラードだ。2003年のポルノと言えば、当時ベーシストだったTamaによる変拍子のダークなナンバー “渦”や、昭仁が作詞作曲を手がけた内省的な“音のない森”を発表するなど、新機軸となるアプローチを重ねていた。そんなふうにバンドが次のフェーズへ進もうとするタイミングでリリースされた“愛が呼ぶほうへ”は、彼らが、世代を問わず愛される「普遍的な歌」を作ることを意識した挑戦のナンバーだったと思う。“サウダージ”で《恋心》へと語りかけたのと同じように、「愛」を擬人化した歌詞には、悲しみも喜びも愛の一部であるという晴一の人生哲学が託されている。生まれてから死ぬまで、愛に導かれて生きる私たちの人生に寄り添う楽曲。

⑥シスター

Tama脱退後、ふたりになった新生ポルノによる初のシングル。淡々とロールするスネアとスパニッシュなギターの調べ、憂いを帯びたメロディに異国情緒が漂う。前述の“愛が呼ぶほうへ”は、「愛」がテーマだったが、“シスター”は、私たちの人生に《友の様に》寄り添う「悲しみ」を丹念に炙り出す。そのため、リリース当時は「脱退したメンバーを意識した楽曲か」と憶測が飛んでいたが、真意はわからない。ただ、デビュー当時から、何度も唸らされた晴一の歌詞の美しさを、この曲では改めて実感する。全編で、海の深い《蒼》を描きながら、途中で紡がれる《白い花》と《赤い日傘》が鮮烈だ。実際に《赤い日傘》はあまり存在しないことを考えると、かなり文学的な表現だが、この美しい色彩の捉え方、さらに《東》から《西》へと推移する構成も秀逸で、「日本語の歌」にこだわるバンドの気概を感じる。

⑦ハネウマライダー

“ミュージック・アワー”以来、6年ぶりに「ポカリスエット」のCMソングとなった20thシングル。初となる横浜スタジアムでのワンマン2Daysを控えたタイミングでリリースされた、真骨頂となる夏らしいアップナンバーだ。「跳ね馬」とは、気性の激しい暴れ馬の意味。そんな抑えきれない衝動を胸に抱えながら、新たな目的地へとバイクを飛ばす自分自身を「ハネウマライダー」と名付けたこの曲は、ポルノには珍しく、歌詞に英語と日本語を交え、楽曲の疾走感を加速させている。だが、勢いだけに終わらず、この曲で丁寧に歌われるのは、大切な誰かと出会うことで、それまで自分だけのものだった人生の意味も変わる、という心の機微だ。この人間味溢れる表現は30代に突入した当時のポルノならではだと思う。

⑧瞬く星の下で

デビュー15周年イヤーに向けて、テレビアニメ『マギ』主題歌として起用された37thシングル。この時期にはメンバー自身が作詞作曲を手がける楽曲が中心になり、プロデューサーに本間以外の若手クリエイターを起用するようになる。この曲は、作詞作曲を晴一が担当、プロデューサーに田中ユウスケ、立崎優介を迎えた。「星」をモチーフにしたキラキラとしたポップなサウンドにのせて綴られる歌詞は、異世界をめぐる冒険ファンタジー『マギ』の世界観とリンクしながらも、あらゆる価値観が多様化し、不確かな社会を生きる私たちのリアルな日常にもしっかり光を灯す。《荒野》という言葉と共に、未来への希望を託す楽曲は過去に何度かあったが、それを2013年バージョンへとアップデートさせた意義深い1曲。

⑨THE DAY

テレビアニメ『僕のヒーローアカデミア』第1期オープニングテーマに起用された43rdシングル。《THE DAY HAS COME》=「その時が来た」と、ファルセットで突き抜けるサビが痛快なロックナンバーだ。豪快に刻むビートにのせて、伸びやかなギターソロが炸裂する今作は、これまで以上にロックバンド然とした強さが打ち出され、スタジオ音源でありながら、ライブの熱量をしっかり感じることができる。デビューから20年近くにわたり、ライブハウスからアリーナ、スタジアムに至るまで、オーディエンスを熱狂させてきた生粋のライブバンドの生き様が見事にパッケージ化された楽曲だと思う。決して平等ではあり得ない、この《ろくでもない世界》を生き残れと、2010年代の楽曲に顕著なストレートなメッセージを伝えつつ、この世を地獄でも天国でもなく、《ミシン目のような場所》と表現する比喩に痺れた。

⑩VS

過去と現在との対比をテーマにした記念すべき50thシングル。ピアノによるしっとりとしたイントロにはじまり、次第に高まってゆく晴れやかなバンドサウンド。そこに、どこか拭いきれないセンチメンタルが滲む。現在の自分から、夢に対して恐れも迷いもなかった「あの頃」の自分へと語りかけるような歌詞には、主題歌となったあだち充の原作アニメ『MIX』ともリンクする部分がある。なお、この曲は、デビュー20周年を祝って開催された東京ドーム公演「20th Anniversary Special LIVE “NIPPONロマンスポルノ'19~神vs神~”」のラストナンバーとして披露された。そこで、《あの少年よ こっちも戦ってんだよ》と力強く歌い上げたフレーズは、これからもポルノグラフィティが音楽シーンのど真ん中で、ロックバンドとして戦い続けるという決意を感じさせるものだった。
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