【10リスト】クリープハイプ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】クリープハイプ、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
生活と性愛のどん底のリアリティを描きながら、飾り気のないバンドサウンドでロックしてきたクリープハイプ。その極端なまでの誠実さは、リスナーともベアナックルで打ち合うような「本気」として作品の中に織り込まれ、またライブ時のコミュニケーションにも表れてきた。だからこそ、クリープハイプとリスナーの関わりの中で築かれてきた愛情や信頼感は、季節を経るごとに一層揺るぎないものへとなってゆくのだろう。愛と憎悪は対義語ではなく、いつでも表裏一体だ。綺麗事では済まされない人間のドラマを伝えてきたクリープハイプの作品を、再確認してほしい。(小池宏和)


①イノチミジカシコイセヨオトメ

インディーズ時代の作品『東京とライブ』や『When I was young, I’d listen to the radio』に収録されていた楽曲で、メジャーデビューアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』のものは再録バージョン。ピンサロ嬢の、純粋ゆえに痛ましい独白と《明日には変われるやろか/明日には笑えるやろか》という祈るような思いが、圧倒的な筆圧のストーリーテリングをもって突き刺さる。メジャーデビュー前夜、現行メンバーが揃う前から、尾崎世界観(Vo・G)の強烈な作家性によって支持を集めてきたナンバーのひとつである。

②左耳

男の耳のピアス穴に過去の恋人の存在を嗅ぎ取り、思わずピアスで穴を塞ぐ。《それで起きて 寝呆けた顔して/これくれるのなんて聞いてくる 別にそれもう要らないし》。穴を塞いだピアスは、男から贈られたものだったろうか。そもそも、もう要らないのは「ピアス」なのだろうか。残酷なまでのスピード感で冷めてゆく恋愛感情のリアリティを描いた逸品。軽やかに跳ね上がるバンドのコンビネーションとは裏腹に、楽曲が鳴り止んだ後も物語の後味がべったりとへばりついている。

③オレンジ

メジャーデビューアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』の時期にシングルリリースはなかったが、“オレンジ”はミュージックビデオも製作され、アルバムのリード曲的な位置付けになった。取り返しのつかない、二度と手に入らないロマンチックな約束の風景。それを何度も反芻するようなコーラス部分もキャッチーで素晴らしいが、それ以上にテクニカルなメロディと気の利いた言葉遊びが全編に仕掛けられており、「尾崎世界観というソングライターの才能」を広く知らしめる楽曲になった。

④社会の窓

メジャー2作目のシングルで、熱心かつクセの強い古参ファンの心理を描写するという、エミネムの“スタン”ばりに衝撃的なナンバー。どこまでフィクションなんだか分からないが、喧嘩腰なくせに明らかに少数派の声を拾い上げてしまう繊細さも、尾崎らしくて最高だ。ライブでこの曲に触れ泣き崩れてしまう女性ファンを定点カメラで捉えたMVも見事。《社会の窓の中でイク 夜は窮屈過ぎて/最高です》のエクスタシーに辿り着くまでの奥深いドラマと、尾崎の捻くれたファン愛に唸らされる1曲だ。

⑤ラブホテル

2013年夏にリリースされたアルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』のオープニング曲。夏の恋の魔物に取り憑かれた駆け引きが、周到な言葉の連鎖とバンドの夢見心地なサウンドスケープによって綴られており、《夏のせい》という抜けの良いフレーズをもって各地夏フェス出演の場でも威力を発揮し続けてきた。《『えっ、そんなつもりじゃなかったんだけどとか今更言われても困るよ。』/とか今更言われても困るよ》という蟻地獄のような殺し文句が、音の中で小気味好く弾けるさまが心憎い。

⑥二十九、三十

シングル『エロ/二十九、三十』に収録された、フリーマガジン『R25』とのコラボ曲。まさに尾崎が30代に差しかかる直前にクリープハイプはこの曲を発表したが、30代男性に向けたエールというオファーを汲みながらも、むしろ表現者として生きる尾崎個人の素っ裸の覚悟や感謝の念が溢れ出ている。《明日の朝恥ずかしくなるいつものやつだとしても/ずっと今まで言えなかったけど/サビなら言える》。自分自身とターゲットの立ち位置を見定めることでメッセージを研ぎ澄ませてきたクリープハイプの、ひとつのターニングポイントとなった曲だ。

⑦バンド

尾崎の半自伝的小説『祐介』からクリープハイプのアルバム『世界観』へと至る物語を締めくくるような、同アルバムのラストナンバー。歌詞に出てくる《2009年11月16日 アンコールでの長い拍手》という日付は、小川幸慈(G)、長谷川カオナシ(B)、小泉拓(Dr)の正式加入がステージ上で発表されたときのことで、その後も切磋琢磨を続けてきた4人の感動的なバンド賛歌となった。また、現行メンバーが揃ってから10年を経て、小川・長谷川・小泉のアレンジによる“バンド 二〇一九”が配信リリース、このバージョンのMVも公開された。

⑧イト

映画『帝一の國』の主題歌としてリリースされたシングル曲であり、「糸」と「意図」のダブルミーニングを用いながら、世間のしがらみの中でタフに生きようとするポジティブなメッセージが迸っている。ファンキーなギターのカッティングが踊りまくり、華やかなホーンサウンドも織り込まれたディスコロックは、まさに纏わり付くしがらみの中でも活き活きと暴れ回っているかのようで、ストイックなバンドサウンドを中心に楽曲を生み出してきたクリープハイプには新鮮だった。このようなリッチな音像の作風は、後のアルバム『泣きたくなるほど嬉しい日々に』にも継承されている。

⑨栞

そもそもは、2018年に「FM802 × TSUTAYA ACCESS!」のキャンペーンソングとして尾崎が書き下ろし、錚々たる顔ぶれのアーティストたちがボーカルリレーを繰り広げたことで話題になったナンバーだが、アルバム『泣きたくなるほど嬉しい日々に』には、率直で思い切りの良いバンドサウンドによるクリープハイプのバージョンが収録された。《桜散る桜散る お別れの時間がきて/「ちょっといたい もっといたい ずっといたいのにな」/うつむいてるくらいがちょうどいい/地面に咲いてる》。切ない離別の瞬間を、この上なくキャッチーなメロディと極上の文学センスで永久に封じ込めた1曲。

⑩愛す

どシュールなSFラブコメのアニメーションMVも強烈な、2020年1月22日(水)リリースのシングル表題曲。バンドとしての技量と結束力を再確認したからこそ踏み出せる新たな領域として、ビートミュージックの要素を絡めたソウルフルなアーバンポップに仕上げられている。とは言え、繊細にして情緒豊かなギターのリフレインや、くるくると表情を変えてゆくベースライン、立ち上がってくる生ドラムのパンチ力など、バンドサウンドの魅力がしっかり刻み付けられたバランス感覚にも舌を巻く。さらに作品のバリエーションを広げてゆくクリープハイプの未来に、期待せずにはいられないナンバーだ。
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