ヤングブラッドが、2月1日に発表されるグラミー賞〈最優秀ロック・ソング〉部門にノミネートされ、現時点で1億回以上のストリーミングを記録している自身のキャリア最速ヒット曲“Zombie”で、スマッシング・パンプキンズと共演。しかも同曲を、マット・シュワルツとビリー・コーガンの共同プロデュースで再構築した新バージョンとして発表し、ミュージックビデオも公開された。
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これは「起こるべくして起きた」とも言える相思相愛のコラボレーションだが、まず驚かされるのは、スマッシング・パンプキンズが他のアーティストとコラボレーションし、公に音源を発表するのが、これがキャリア初であるという点だ。
この特別なコラボの大きなきっかけとなったのは、昨年7月に行われたブラック・サバスのフェアウェルコンサートで、ヤングブラッドとビリー・コーガンが初めて対面したことだった。
その直後、筆者がビリーにインタビューした際も、彼は世代を超えて共通の音楽を分かち合えることへの感動を、次のように語っていた。
「子どもの頃に大好きだった音楽が、50年経った今もなお大切なものであり続けている。それだけでもすごいことだよね。そして今、それを自分の世代だけじゃなく、もっと若い世代と一緒に祝えるというのが、また特別なんだ。ゴーストがいて、ヤングブラッドがいて、リジー・ヘイルがいる。今の若い世代も一緒になって祝ってくれている。だから思うんだよ――『ああ、自分が信じてきたことを、他の人たちも信じてくれているんだ』って。僕たちが愛してきたものには、力があり、意味があるんだ」
それ以前からビリーは、ポッドキャストなどでヤングブラッドをたびたび賞賛していた。たとえば2023年、アリソン・ハーゲンドーフのインタビューでは、「彼がどこへ向かっているのかが分かる。もし自分の読みが正しければ、これから50年語り継がれる存在になるだろう」と語っている。
またビリー自身のポッドキャストにもゲストとして登場していた。
ヤングブラッド自身も、スマッシング・パンプキンズのアルバムから大きな影響を受けてきたと語っており、とりわけ今作で、“自分が思うロックアルバム”を本格的に作るうえでの重要なインスピレーションになったという。なかでも“Zombie”は、スマッシング・パンプキンズからの影響が色濃い楽曲であり、サバスのフェアウェルコンサートでビリーと会った後、本人に直接打診したことで今回の共演が実現した。
プレスリリースで、ビリーはこのコラボについて次のようにコメントしている。
「ヤングブラッドの星は、眩く輝いている。彼が僕らの作品に影響を受けたという“Zombie”に、我々ならではの“ジグザグ”な声を加えられたのは本当に楽しかった。だからこそ、このバージョンが可能な限りパーソナルなものになるよう励ましたし、その点で誇れる曲になったと思っている。彼への敬意を込めてね」
一方、ヤングブラッドはこう語る。
「『サイアミーズ・ドリーム』は、自分の成長期を支えてくれた、言葉では言い尽くせないほど大切なアルバム。その作品を生み出したバンドと一緒に音楽を作れるなんて、本当に信じられない。ビリーはずっと自分のインスピレーションの源だったけど、最近では大切な師のような存在でもある。芸術における“真実”の重要性についての彼の考え方は、常に自分の心の中心にある。
“Zombie”は『IDOLS』の中でも最重要な曲だ。とても個人的な思い入れがあるし、感情性、映画的なスケール、そしてヘビーなギターを融合させるスマッシング・パンプキンズの手法に強く影響を受けている。ビリーにメールを送って、この曲を一緒に再構築してほしいとお願いしたら、快諾してくれて、まさに夢が叶った瞬間だった。自分が書いた曲を、憧れの存在と一緒に作り上げていく姿を見られたことは、人生最大の名誉のひとつだと思っている。この新しい“Zombie”は、よりヘビーで、ビリー・コーガン特有のギターサウンドがあり、切迫感が増していて、心を引き裂くような仕上がりになった。本当に誇りに思っている」
メイキング映像もすでに公開されている。
この中でヤングブラッドは、今回のコラボレーションを振り返り、こう語っている。
「懐古的な感じはまったくない。すごく新鮮なんだ。まさに二つの世代が衝突している感覚がある。『うわ、何だこれは』って思うくらい新しい。これはひとつの転換点だと思う。自分としては、『ああ、次はここへ行くんだな』って感覚がある。サウンド的にね。
ギタートーンについては、本当に多くを学んだ。どれだけ時間をかけるか、という点で。3時間かけて、さまざまなトーンを行き来しながらひたすら試す。そして『これだ』というポイントを見つけた瞬間、色が一気に立ち上がる。『うわ、これだ。クールだ』って。その感覚は、たとえば“Mayonaise”をかけた瞬間に一発で分かる。ドンと来る。でも同時にリアルで、現代的なマスタリングを通して少し太く鳴っている。それがまたいい。
ノスタルジーの気配は確かにあるけど、感触は“今”なんだ。切迫感がある。それって、すべてだよね? 90年代は、ビートルズみたいな存在だった。完全にルネサンスだった。不完全さの時代だった。そして今、また同じことが起きようとしていると思う。うん、間違いない」
ビリーも引き続き、ヤングブラッドをベタ褒めする。
「才能を持っている、というのはひとつの話だ。でも、そのビジョンを本当に実現させる才能を持っている、というのはまったく別の話なんだ。
(彼はそれを追求するにあたり)恐れがない。まったく恐れがない。
ここで起きていることは、本当にユニークで、特別なことだよ。
ドムは本物のロックファンだ。
シンガーとしてポップを突き抜けたあとで、ロックンロールへと踏み込んでいく――そんな道を本当にやり遂げた人間は、実はごくわずかしかいない。
ピーター・ガブリエル、オジー、スティング……
それからブルース・スプリングスティーン。
つまり、ほんの一握りだ。
本当に、極めて短いリストなんだ」
さらに2人の会話。
ヤングブラッド「この曲に関しては、他の誰の声も想像できなかった。だからメールを送ったときも、正直『かなりぶっ飛んだお願いだよな』って思いながらだったけど……
『このアルバムでは、ずっとあなたの存在を感じながら作ってきたんだ。よかったら、一緒にこの曲を再構築してもらえないかな?』って書いたんだ」
ビリー「彼が言いたいことは、すぐに分かったよ。だから、『もう、行けるところまで行こうぜ』って感じだった」
ヤングブラッド「『どうか、その衝動を解放してください』って気持ちだったんだ」
ビリー「僕が歌うっていうのも驚きだったし、あれだけ本気で取り組んでくれたことには光栄だった。でも同時に、ずっと考えてもいたんだ。
『もしヤングブラッドのファンだったら、映画の途中に僕が突然出てくるのって、本当に望んでいることなのかな?』って。
でも彼は、それでも絶対にうまくいくって、納得させてくれたんだ」
ヤングブラッド「マジでぶっ飛びだよ。ぶっ飛び。
『一体、何が起きてるんだ?』って感じでさ。
『このクソみたいにぶっ飛んだフィーバードリームは何なんだ?』って。
分かるだろ? でも最高なんだよ。
しかも、雪の中の墓地にいて、最高にキマってる」
このアイディアは、「リトアニアでライブをやったときに訪れた墓地があって、そこが本当にすごい場所なんだ。十字架が丘一面に立ち並んでいる“十字架の丘”で、雪の中だと、もう……ああ、信じられないくらいの光景になる。
それを見たときに、これをやりたいって思ったんだ」
なお、ヤングブラッドは、“Zombie”だけでなく、アルバム『IDOL』で〈最優秀ロック・アルバム〉部門にもノミネート。また、オジー・オズボーンとブラック・サバスのトリビュートライブで披露した“Changes”が〈最優秀ロック・パフォーマンス〉部門にノミネートされている。
そのパフォーマンス映像はこちら。
さらに、5月からはすでにソールドアウトとなっている全米ツアーもスタートする予定だ。